名物駅弁「ひっぱりだこ飯」、台湾で販売の舞台裏 現地で食材調達し調理、人気はどうだった?

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会期中の4日間ともに盛況だったが、淡路屋は台北に店舗を持つ崎陽軒のように本格進出する考えはあるのだろうか? 副社長に聞くと、「その予定はない」という答えであった。理由として、温かい弁当や利便性が求められる台湾に合わない点や、台湾の駅弁の相場である60元(約270円)から100元(約450円)の価格に合わせることができない点があるという。

コラボ容器と台湾の地元客
コラボレーションした容器も展示し地元客の関心を引いた(筆者撮影)

実際、台湾では駅構内で売られている「台鉄弁当」でも、60元の一番安い弁当を狙い毎日行列ができるほど、駅弁に安さを求める民衆は多い。崎陽軒も当初は台北駅に店を構え、175元(約780円)でシュウマイ弁当を販売したが、2022年の2月に閉店。その後オフィス街に場所を移し、中華定食やオフィスからの注文にシフトしていることを考えると、399元と高価格帯な駅弁を主力とする淡路屋が参入しないのは妥当な考えといえよう。

淡路屋 副社長
淡路屋のブース前で副社長の柳本雄基氏が自ら弁当をアピールした(筆者撮影)

海外の「リピーター」獲得の重要性

その一方で、今後も半年に一度ほどのペースで出展を目指すことで、名物駅弁のアピールとともに話題性を生み出していきたいという。実際、「ひっぱりだこ飯」は季節版や警察、有名人とのコラボなど多くのシリーズ商品が存在する。台湾でも今後は有名アニメキャラクターや現地事業者との提携を通じて、より興味を引くことのできる話題を提供することで、親日家の多い台湾人のリピーターやファンを増やしていきたいとしている。

コロナ禍を脱し、インバウンド観光も量から質への転換が求められる時代になった。親日家も多いアジア圏のリピーターを取り込むには、単に自治体や鉄道事業者が地域の魅力を訴える押し出し型の宣伝だけではなく、こういった地域の老舗企業が、話題性のある事柄を採り入れつつ主体的に土地の名物を海外で発信するといった“攻めの姿勢”が大事になってくるだろう。

今回の「鐵路便當節」は、台湾鉄道民営化前の最後の開催となり、副業での収益拡大を目指す民営化後の「鐵路便當節」ではさまざまな変化が期待される。日本の各社が今後、海外でのPRの舞台でどのような変化を見せてくれるのか期待したい。

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小井関 遼太郎 東アジアライター

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こいぜき りょうたろう / Ryotaro Koizeki

台湾北部在住。観光や都市政策を中心に研究を進めている他、台湾のガイド資格などを保有しており現地事情に精通。台湾から見た東アジア情勢を中心に発信している。
E-mail : ryo120106@gmail.com
Facebook: https://www.facebook.com/ryotaro0106/
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