赤字ローカル線の惨状、本当に「人口減」が原因か 沿線人口は微増だが利用者数が減った例も

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例示した線区の現状のダイヤはどうなっているのか。通勤・通学に適したタイミングで運行されているのか。例えば内房線の安房鴨川―館山間では、安房鴨川方面は館山8時01分発の後は9時36分発までないし、反対方向も安房鴨川8時04発の後は9時40分発までないなど、まだ通勤を含む需要がありそうな時間帯に1時間半も列車が来ない。朝ラッシュ時でも1時間も間隔が開くのだから、これでは使えるとは言いがたい。

さらに終電も21時台の駅が目白押しで、これでは飲んで帰るのにも使えない。一部列車を除き、4両編成を2両編成にしたうえで車掌をなくし、ほぼ半分の経費で運転できるようにしたのだから、多少の増発をしてくれてもいいのではないか。

小海線はもっとひどい。小淵沢7時03分着の後は9時08分着まで列車がなく、その後も10時37分着までない。日中や夕方はもっと壊滅的なダイヤだ。沿線人口が増えている線区なのにこの扱いである。一体どうやって生活に使えというのだろうか!?

ローカル線対策、今のままでいいのか

今回のデータの提供元の環境経済研究所、上岡直見氏は「JR東日本の深沢祐二社長は、収益重視で減便が利用者減少の原因とする批判は的外れであり、沿線人口が減る中で利便性をいくら改善しても需要喚起には限界があると述べている(『日本経済新聞』記事「ローカル線は維持できるか」2022年9月5日付)。しかし第三セクターのえちぜん鉄道では、さまざまな工夫によってコロナ下でさえ増客を実現(2022年度前年度比)している。JRのローカル線対策はあまりにもお粗末ではないだろうか」と指摘する。

「人が乗らないから助けてください・もう持ちません」と訴えるローカル線は日本中にあるが、すべてではないにせよ、そう言っている割には団地や商業施設の前に駅も置かずに素通りしているなど、泣き言を言う前にやることあるだろうと思うようなところはあるのではないかと感じる。

一方で、本当に沿線人口が少なすぎてどうしようもない線区もある。そのような線区を、都市部の黒字、つまり都市部の負担で多額の赤字を垂れ流しながらも残せというのは、コロナ禍の営業自粛のような、わずかな犠牲を回避するために多額の経済損失を繰り返す行為であり、何でもかんでも残せばいいというのも違うのではないか。きちんと残すべき路線と残すべきでない路線の適切な線引きをしたうえで存廃論議が進められることを期待したい。

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北村 幸太郎 鉄道ジャーナリスト

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きたむら こうたろう / Koutaro Kitamura

1989年東京生まれ。2008年昭和鉄道高等学校運輸科卒業、2012年日本大学理工学部社会交通工学科マネジメントコース卒業。乗り鉄、ダイヤ鉄。学生時代は株式会社ライトレールにインターン生として同社の阿部等社長のもと、同社主催の「交通ビジネス塾」運営などに参加。

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