北海道、リゾート化と縁遠い「旧胆振線」の疎外感 新幹線開業後は函館本線も代替バスの倶知安側

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倶知安駅
新幹線の開業で大きく変化するJR函館本線の倶知安駅。国鉄時代には伊達紋別駅まで胆振線が延びていた(筆者撮影)
ローカル鉄道の廃止反対理由として、「鉄道がなくなると町がさびれてしまう」としばしば述べられる。しかし現実には鉄道の乗客が高齢者と高校生だけとなり、利用客数が極端に減少してしまったからこそ廃止論議が起こる。消えた鉄道の沿線地域と、鉄道を代替した公共交通機関は今、どうなっているのか。今回は周囲のリゾート開発から取り残された、旧胆振線の喜茂別―倶知安間を取り上げる。
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国鉄胆振線が1986年11月1日付けで廃止された際、道南バスが引き受けた鉄道の代替バス伊達倶知安線は、旧大滝村の新大滝駅と喜茂別町の喜茂別駅の間では国道453号・276号経由での運行となり、国道から離れた御園駅周辺へは、喜茂別から別系統が設定された。

代替バスの代替バス

その後、喜茂別―御園間は、利用客減少によって2014年10月に廃止。喜茂別町が運行する「ウサパラ号」に置き換えられている。この町営バスは、2022年10月1日に伊達倶知安線が大滝本町東団地―喜茂別間廃止で分断された際、喜茂別町内の区間の輸送も引き受ける形になった。代替バスの代替バスである。

ウサパラ号
ウサパラ号と道南バスが接続する喜茂別バス停(筆者撮影)

しかし、旧大滝村と虻田郡喜茂別町の間を直接結ぶ公共交通機関は、これで皆無となった。総合振興局の境界を越える区間だが、ヒグマの目撃情報も時折あるだけに、真夏であっても徒歩での廃線跡探索などはとてもお勧めできない。

現在、伊達市側から喜茂別へ向かうには、JR室蘭本線で伊達紋別から洞爺まで行くか、もしくは洞爺湖温泉へバスで抜けて、道南バスの札幌洞爺湖線へ乗り換えるのが最短コースだ。長距離路線らしく完全予約制で、1日4往復中、1往復だけ洞爺駅前や豊浦まで運転される。洞爺駅前9時03分発に乗れば、喜茂別には10時21分に着く。札幌駅前着は12時10分だ。

洞爺湖温泉で観光客を拾い、外輪山を越えて洞爺駅前から1時間ほど走ったところで、こざっぱりした集落に入り、さらに札幌方面へ向かう客を乗せる。村名は留寿都。そして発車して数分も経たないうちに、遊園地やゴルフ場、スキー場、そして高層リゾートホテルなどが突然、現れる。1980年代のリゾート開発の、数少ない成功例と言われる「ルスツリゾート」である。そこから胆振線の駅があった喜茂別までは、わずか10分しかかからない。

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