逆風の100均業界、セリア「驚異の利益率11%」の訳 「薄利多売ビジネス」でもしっかり儲ける仕組み
セリアの収益性が高い理由を、まずは原価率から探っていきましょう。
ワッツの原価率が61%であるのに対し、セリアでは57%となっており、セリアの原価率のほうが低くなっています。100円ショップの商品販売単価はほとんどが100円であることを考えると、原価率を引き下げるには商品の仕入単価を下げるしかありません。
原価率をもとに単純計算すると、ワッツの商品仕入単価は61円であるのに対し、セリアでは57円で仕入れることができているといえます。言い換えれば、セリアでは商品を1点販売すると43円の粗利益(=売上高-売上原価)を上げられるのに対し、ワッツでは39円の粗利益にとどまることになります。
粗利益の数字で見るとわずかな差に見えるかもしれませんが、商品販売単価が低い100円ショップにとってこの差は大きいのです。
セリアの粗利益が大きい「3つの理由」は?
セリアが大きな粗利益を上げられている理由は3つあると推測されます。
1つ目に、セリアの売上高に占める食品の割合が低いことが挙げられます。2021年3月期におけるセリアの売上高に占める菓子食品の割合は2%です。それに対し、ワッツにおける食品の割合は6%とされており、セリアに比べるとやや高い水準です。
セリアにおける商品区分別の原価率を簡易的に試算してみると、雑貨が57%であるのに対し、菓子食品では75%と高くなっています。したがって、100円ショップの原価率を引き下げるうえでは、食品の割合は低いほうが有利になります。
2つ目の理由は、セリアの卸売比率が低く、直営店での売り上げの割合が高いことが挙げられます。FC店などへの卸売りの場合、原価率が高くなる(粗利益率が低くなる)ため、直営店での売り上げの割合が高いほうが全体の原価率が低くなります。
売上高に占める直営店比率は、ワッツでは87%であるのに対し、セリアでは98%と高くなっていることから、セリアの原価率を引き下げる方向に働いていると推測されます。
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