逆風の100均業界、セリア「驚異の利益率11%」の訳 「薄利多売ビジネス」でもしっかり儲ける仕組み
続いて、セリアの決算書を解説します。100円ショップの中でも高い収益性を誇るセリアの決算書を読み解くことで、100円ショップ事業で利益を上げるためのポイントを探っていきましょう。
「高い売上高営業利益率」が目立つセリアの決算書
B/Sの左側を見てみると、流動資産が793億9300万円と最も大きな金額になっています。そのうち大半を占めているのは現預金(535億9300万円)で、次いで大きいのは棚卸資産(182億3800万円)です。
セリアでは、ワッツとは違い直営店での売り上げがほとんどであるため、売掛金はわずか3億4,100万円しか計上されていません。
有形固定資産の金額は211億7000万円であり、総資産に占める割合は18%です。セリアの場合、ワッツに比べて路面店での出店も多いため、相対的に有形固定資産の割合が大きくなっていますが、一般的な小売業の水準(30~40%)と比較すると低い水準です。
セリアの有価証券報告書によれば、路面店も含めて店舗の土地が計上されていないことから、セリアでは基本的に土地を賃借していると推測されます。こうした出店政策が有形固定資産の割合の低さにつながっているといえそうです。
B/Sの右側においては、流動負債が235億7000万円、固定負債が66億1300万円計上されていますが、その中にはわずかなリース債務を除いて有利子負債は含まれておらず、ほぼ無借金経営です。そのため、純資産は852億900万円と多く、自己資本比率は74%と高水準になっています。
続いてP/Lに目を転じてみると、売上高が2006億8200万円で、原価率は57%、販管費率は33%です。営業利益は212億6900万円、売上高営業利益率は11%となっています(ワッツの場合と同様に、四捨五入の誤差があります)。
ワッツの売上高営業利益率が3%だったことから考えると、セリアの収益性は高くなっています。
また、同じく100円ショップ事業を展開するキャンドゥの2020年11月期の売上高営業利益率も2%ですから、ワッツやキャンドゥの収益性が低いというよりは、セリアの収益性が高いのだといえそうです。
では、セリアが高い収益性を実現できている理由は何なのでしょうか。
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