【産業天気図・銀行業】資金需要増加だが企業業績悪化で与信費用が増加、債券運用益も低下へ

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 自見庄三郎金融担当相は、東日本大震災に被災した金融機関を考慮し、金融機能強化法を改正する意向を示している。同法に基づく申請を行えば、銀行は公的資金の注入を受けて資本増強が可能だ。「地震による被災は努力の範囲を超えている。経営責任を問わず使いやすくしたい」(自見大臣)と、適用要件を大幅に緩和する方針。

申請期限は12年3月期までだが、法改正で延長も視野に入れている。これまで実行された合計約3500億円分を除いても、公的資金枠は11兆円も残っている。すでに申請検討を表明した地方銀行もあり、今後、追随する金融機関も出てきそうだ。日本銀行では被災した金融機関の資金支援に総額1兆円の供給枠を設定し、5月から供給オペを開始する。政府も補正予算で危機対応融資枠の拡大を図るなど、多岐にわたる支援策が講じられている。
 
 こうしたことから、前期ほどの高い収益水準は見込めないながらも、足元の資金需要増加や当局が打ち出した要件緩和もあり、与信費用が昨年よりも急激に増えて銀行業績が一気に大崩する展開は考えにくい。
 
 後半(10月~12年3月)も与信費用が低く押さえられていた前年同期の利益水準を上回ることは難しい。現状でもなお被害の全容が分かっておらず、現時点では復興へ向けた動きが本格化するタイミングが読めない。原発事事故の影響で節電を強いられるため、企業は供給制約が長引くと見られ、その影響は中小企業にも及ぶ。

自粛ムードに端を発した消費停滞の影響も受けると予想される。前半に当面の資金繰りをつけた企業の業績悪化が顕在化し、下期の与信費用が膨らむ可能性もある。銀行借入や種々のセーフティネットで企業が事業環境の厳しい前半を乗り切り、復興需要の発現に合わせて業績改善に向かうことが理想的な流れだが、現段階で今年後半にそれが実現するとの見通しを立てられる状況にない。
(井下 健悟=東洋経済オンライン)

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