もう一つ、「電磁装甲」という技術もある。これは車両になんらかの防御を可能とする場を作り、ミサイルなどの攻撃対象の威力を減衰させるテクノロジーだ。2016年時点で開発中とのことだが、現在どうなったかの詳細は不明だ。
バリアとは少し違うかもしれないが、電磁装甲の防御には3種類のテクノロジーが存在する。コイルによって電磁場を作る方法、化学剤を使って車両周辺で爆発と燃焼の場を作る方法、複数枚の電極でプラズマを作る方法だ。しかし、これらの方法は車両へのダメージを避けることはできない。
警備から医療、エンタメまで幅広く社会を変える
バリアが実現した社会を考えてみよう。もしかしたら我々は、護身用にバリアを携帯するようになるかもしれない。治安の良い日本だが、たまに物騒な通り魔事件や無差別殺傷事件なども発生する。
また、警察や警備員などもバリアを身につけることが必須となるだろう。不審者との格闘や容疑者の確保などは危険と隣り合わせだ。防弾チョッキは正直分厚いし、守れる身体の部位も限られているため、その代替としても十分有効だろう。
ほかにも、交通の観点でも利活用が考えられる。自動車やトラックなどの車両に搭載すれば、多くの衝突事故、接触事故、人身事故が回避されるだろう。自動車やトラックだけではない。自転車やバイク、普及が急がれる電動キックボードにも当てはまるだろう。
そして、医療だ。COVID-19 が確認された当初、未知のウイルスを人類は恐れた。2023年5月現在は、徐々に弱毒化し重症化率や致死率も低下してきたが、当初は恐怖のバイオハザードだったことには間違いない。世界には、COVID-19以外の危険なウイルスも数多く存在する。そんなウイルスの感染を防ぐためにもバリアを活用できるのではないか。診察する医師、感染者に寄り添う看護師や救急救命士などに感染予防の観点で有効だろう。
エンターテインメントの領域でも利活用のシーンが考えられる。遊園地で安全性を確保しながら迫力のあるアトラクションを設計できるかもしれない。水族館や動物園では、猛獣の至近距離まで近づいて楽しむことだって可能になるかもしれない。これは、飼育員の保護にも使えるはずだ。コンサート会場のアーティストの保護にも使えるだろう。このようなテクノロジーが開発されると、犯罪を起こそうとする人間も計画を実行できなくなり、諦めモードになる未来も予想できる。そうした意味では、人のメンタルまで変えてしまうテクノロジーなのだ。
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