CDベイビー創業者が直伝「人が感動する瞬間」とは やたらとデカい話をしがちな起業家の盲点

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デレク:その頃、ニューヨークのウッドストックに住んでいたんだけど、小っちゃくてかわいい、町のレコードショップを見つけたんだ。

カウンターでは、地元のミュージシャンのCDが売られていた。ある日、店にフラッと立ち寄って聞いてみたんだ。

「ねえ、もし僕がここで自分のCDを売ろうと思ったらどうすればいいの?」

お店の人は教えてくれた。

「いくらで売りたいか、好きに値段を決めてちょうだい。うちはCD1枚につき4ドルもらうから。毎週立ち寄ってくれれば、売れた分を支払うわ」

家に帰ると、早速僕の新しいウェブサイトに、こんなメッセージをアップしたんだ。

CDベイビー誕生の瞬間

「あなたのCDにお好きな値段をつけてください。こちらはCD1枚売れるたびに、4ドルを頂戴します。売上げ代金は毎週お支払いします」

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それから新しいアルバム1枚をうちのシステムに取り込むのに、大体45分かかったことをはっきりと覚えてるよ。

アルバムジャケットをスキャナーで取り込んだり、フォトショップで加工して体裁を整えたり、販売を希望するミュージシャンから送られてきた経歴書のスペルミスを訂正したり、そんなことにかかりきりになってたんだ。

その頃の僕にとって、45分っていう時間は、時給にして25ドルの価値はあると考えた。そう聞けば、当時僕が自分の時間をどれくらい価値があるものと思っていたか、わかるだろう?

それで僕はこのシステムを利用する費用として、契約時に25ドル請求しようとしたんだけど、う~ん、何て言えばいいかな……僕の中では、コストという点で、25ドルでも35ドルでもそう差がないと感じていたんだよね。

10ドルは違うし、50ドルも違う。でも、25ドルと35ドルは僕の中では同じ位置を占めていたんだ。それで、料金を35ドルに設定したんだよ。

そうすれば、相手が望んだときには、値引きに応じてあげられるからね。

契約の希望者が電話の向こうでオロオロしてたら、こう言ってあげるんだ。

「こうしないか? 値引きしてあげるよ」

つまり、値引きに応じてあげられるように、ちょっとしたバッファーを設けて設定したってわけ。みんな当然大喜びさ。

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