元宝塚「おじさん役」天真みちるの退団後の“今" 宝塚の枠を超えて「やりたい」を追求したかった
そうやって自分の生きる道を模索してきた宝塚での体験や、退団後の右往左往してきた社会人生活を反すうし、本としてまとめてみたら、「じゃあ次はこうやってみようかな」っていうものが見えてきた気がして。
宝塚をもっと遠くまで届けるきっかけになれたら
いまだに選択肢は無限ではあるんですけど、「元タカラジェンヌだから創れる作品を目指す」という、やりたい方向性も見つかりました。
私には、宝塚をもっと遠くまで届けるきっかけになれたらという思いがあります。
宝塚にいた頃、宝塚ファン以外のお客さんが多い公演ほど燃えるところがあったんですよ。というのも、普段の公演とは笑いが起こる場面が違うんです。
宝塚ファンのお客さんはファンゆえに盛り上げてくださっているところもあるでしょうし、逆に初めて宝塚を観た方はノリ方が分からないというのもあるんでしょうね。
そういうときこそ、「ここで笑わせるぞ!」と。
その結果、たどり着いたのがタンバリン芸です。タカラジェンヌだったけれども、どうも芸人魂が燃えてしまう(笑)
でも、宝塚を辞めてから舞台やイベントに出るときに、ほぼ必ず「タンバリン叩いてくれませんか?」って言ってもらえるんですよ。
宝塚の中だけでの隠し芸だったものが、外の世界でも求めてもらえるのはうれしいこと。もっと広げていきたいですね。
他に、最近は脚本や連載など、書く機会を頂くことも増えました。
他の元タカラジェンヌが書くもののほとんどは宝塚ファンの方に向けたものなので、私は宝塚ファン以外の人に届けられるものをつくりたい。
そうやって宝塚に興味がない人を“宝塚沼”の入り口に呼び込むことに関して、自分にしかできないことはたくさんあるのかもと思っています。
天真みちるさん
2006年宝塚歌劇団に入団、花組配属。老老(若は皆無)男女幅広く男役を演じる。また、タンバリン芸でも注目を集める。18年10月に同劇団を退団。21年8月に「たその会社」設立。代表取締役を務め、「歌って踊れる社長」に。舞台、朗読劇、イベントなどの企画・脚本・演出を手掛ける傍ら、自身もMCや余興芸人として出演している。21年に宝塚歌劇団での体験をつづったエッセー『こう見えて元タカラジェンヌです』、23年に宝塚歌劇団退団後を記したエッセイ『こう見えて元タカラジェンヌです 遅れてきた社会人篇』(ともに左右社)を出版。愛称は「たそ」
■ Twitter/Instagram/HP
(取材・文・編集/天野夏海 撮影/赤松洋太)
Woman typeの関連記事
●「女は男に劣るから東京大学に入れない」バイアスだらけの東大で中野円佳がジェンダー改革に取り組む理由
●【藤崎忍】絶滅寸前の『ドムドムハンバーガー』を救った元専業主婦社長
●【三石琴乃×水樹奈々】声優界のトップランナーが明かす逆境の乗り越え方
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら