元宝塚「おじさん役」天真みちるの退団後の“今" 宝塚の枠を超えて「やりたい」を追求したかった

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宝塚としてはここまでだけど、ぶっちゃけ自分はここまでやりたい

そんな思いがどこかにあったことが、宝塚を辞めるきっかけになったように思います。

退団後、「トップを目指さなかった」負い目に変化

だから卒業した頃は、「宝塚の肩書を捨てて、人間一人で行くんだぜ!」みたいな気持ちでいました。

実際に今は全てが自分の采配次第で、「こうやった方が楽しい」を実際にやれる面白さをめちゃくちゃ感じています。

その一方で、ありがたいことにタカラジェンヌだった頃の自分を知ってくださっている方からお仕事を頂くことが多いんですよね。

また、1冊目の本『こう見えて元タカラジェンヌです』を出した時にいろいろ取材を受ける中で、自分がいかにイレギュラーな道を歩んでいるのか、ようやく客観的に見られるようになった気がします。

(撮影/赤松洋太)

実は、これまでは劇団に対して胸を張って、「おじさん役やってきたんですよ」とは言えなかったんです。

「トップスターを目指さなくなってしまった人間」という負い目がどこかにあって。

宝塚では、皆さんが当たり前のようにトップを目指して進んでいきます。そんな中、私はスタートダッシュすら切れなかった。

私、宝塚に入ったら、自分をプロデュースしてもらえると思っていたんです。実際は自己プロデュースの世界だから、自分で勝ち取っていくしかない。

それなのに「誰かが導いてくれるだろう」と思ってボサっとしていたら、どんどん出遅れてしまった。

結果、1〜2年たつ頃には崖っぷちっていうか、「自ら辞めるかor辞めさせられるか」くらいまで落ちていって。

宝塚は「トップになれるかどうか」が分かりやすい面もあって、「同期の中ではこの子が一番期待されているのかも」みたいなことを、みんなが敏感に感じ取っています。

一方、私は箸にも棒にも掛からない場所にいて、その状況からトップを目指したとして、実を結ぶのは何年後だろうという思いがありました。

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