エヌビディアが「生成AIブーム」で確変モード入り データセンターのAI向け半導体で8割のシェア

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推論プロセスでは、学習プロセスよりも多くの計算が必要になる。そのため、大量の計算に適したGPUも併せて搭載する必要があるのだ。これはエヌビディアにとって、市場そのものの規模が何倍にも膨れ上がったことを意味する。

当面は続く「1強状態」

「今後、世界のほとんどのデータセンターで情報を生成する主要な作業が生成AIになることは明らか。10年間で、世界のほとんどのデータセンターがアクセラレーション化(GPUが搭載)されることになるだろう」

エヌビディアのジェンスン・フアンCEOはそのように語る。実際に、需要は引きも切らない。ChatGPTを開発したオープンAIやマイクロソフトに加え、そのライバルとなる「Bard」を展開するグーグル、さらにはAWSを展開するアマゾンなど巨大IT企業が、GPUを求めて殺到している状況だ。

目下の課題はGPUの調達だ。エヌビディアは自社で工場を持たず設計に特化する「ファブレス」と呼ばれるメーカーだ。生産は台湾の製造受託大手・TSMCに委託している。

2023年2〜4月期の決算説明会の場では、調達面について「下半期に確保している供給量は上半期よりも大幅に多くなる」とコメントしているのみ。今後、爆発的に拡大する需要に応えきれるのかが焦点になる。

競争も激しくなっていきそうだ。インテルやAMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)といったすでにGPUを扱っている半導体メーカーとの競争はもちろんのこと、グーグルやアマゾン、メタといった巨大IT企業も自社製のAI半導体の開発に乗り出している。

とはいえ、足元ではデータセンター向けのGPU市場はエヌビディアのほぼ独占状態。「この先2〜3年間はエヌビディア1強が続くのではないか」(オムディアの南川明氏)との見方が強い。生成AI普及という強烈な追い風を受け、エヌビディアがこれまでとは段違いの成長を迎えるのは間違いなさそうだ。

石阪 友貴 東洋経済 記者

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いしざか ともき / Tomoki Ishizaka

早稲田大学政治経済学部卒。2017年に東洋経済新報社入社。食品・飲料業界を担当しジャパニーズウイスキー、加熱式たばこなどを取材。2019年から製薬業界をカバーし「コロナ医療」「製薬大リストラ」「医療テックベンチャー」などの特集を担当。現在は半導体業界を取材中。バイクとボートレース 、深夜ラジオが好き。

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