福士蒼汰「人気に実力伴わなかった」葛藤を経た今 長年勉強している英語を使い海外作品にも挑戦

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でも、同時にもう1回やりたいという気持ちも湧いてきて。次に海外作品に出演するときは、もっと自分の能力を遺憾なく発揮できるようにしたいと思いました。見てくださった皆さまに今作がどう感じていただけるかはまだわからないのですが、いまはそのときの自分を褒めてあげたいです(笑)。

――今回初めて海外作品にチャレンジされましたが、国内でのこれまでの12年の俳優業を振り返ると、デビュー当時から華々しい活躍が続いて、順風満帆な俳優人生に見えます。

どのアングルから見るかによって違いますが、12年を前半と後半に分けると、前半は順風満帆だったように見えるけど自分の中ではそうじゃない。後半は順風満帆とは言えないけど自分の中では充実していた、というように感じます。

福士蒼汰(撮影:今井康一)

――前半の中身がそうではなかったというのは?

デビューしてまもなく「仮面ライダー」の主演を務めさせていただいたり、朝ドラ「あまちゃん」(NHK)で話題になったりして、まだ役者として右も左もわからない中で大きな仕事をたくさんいただいて。自分の名前だけが1人歩きして、メンタルはそれに追いついていなかった。それが20代前半まで。

傍からから見たら、順風満帆に見えるかもしれないなとは思います。でも実際はそんなことなくて、そのころの記憶があまりないくらい。とにかく必死に目の前のお仕事を乗り越えていました。

それが、20代後半から自分のペースを確保しながら少しゆっくりとお仕事させていただくようになり、1つひとつの作品に対する、自分なりのクオリティが上がったと感じています。

周りの評価と、現実の自分の姿に悩む

――20代前半の「名前が1人歩きしてメンタルが追いつかなかった」ころは、スランプのような状態だったのでしょうか。

スランプだと感じることすらないくらい、まだ自分の実力が伴っていなかったんです(笑)。お芝居に対する自分自身の現実の姿と、周囲からの評価のギャップがすごく大きくて。オーバーレイト(過大評価)されるほうが、アンダーレイト(過小評価)されるよりもきつい。その状況に悩み、苦しみました。

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