ただし、以上で述べたことは、AIがまったく役に立たないということではない。使い方によっては極めて有用だ。
まず、信頼できるとわかっている資料を示して、その内容を要約したり、翻訳したりしてもらうことができる。この過程では、誤った情報はおそらく混入しないだろう。この方法によって情報収集能力が著しく向上する。特に、言葉の壁に悩んできた日本人にとっては、海外の情報へのアクセス手段として大変重要だ。
ただし、「信頼できる資料は何か」と生成系AIに質問をすると、いい加減な答えが返ってくる。あまり信頼できそうもない資料を挙げたり、あるいは、そもそも存在しない文献をでっち上げたりする。
生成系AIが驚嘆すべき能力を発揮する分野
もう1つ、ChatGPTなどの生成系AIが驚嘆すべき能力を発揮するのは、文章の校正だ。とりわけ、音声入力で作った誤変換だらけのテキストの校正である。私がこれまでさまざまに試みたところでは、これこそが、最も安全で、効率的で、賢いAIの利用方法だ。
このような利用法を見出すのが、重要である。
「神はたくらみ深いが悪意を持たない」(Raffiniert ist der Herrgott, aber boshaft ist Er nicht)とは、アインシュタインの有名な言葉である。AIは間違いを犯すが、それは、AIが悪意を持っているからではない。問題が起こるのは、人間がAIの使い方を誤っているからである。
だから、それに対処するのは、悪意を持つ人間を相手にするよりは、ずっと容易であるはずだ。
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