クックパッド、人員削減で感じた「残酷な逆説」 今年すでに3回目、決算資料を読み解くと…

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次に「Our vision」として「ヒトの健康に必要なのは、食事、運動、睡眠といわれ、世界でもっとも頻度高く行われている社会活動は、家族での食事です」などが書かれている。私はこれらの記述内容に反対ではない。むしろ賛同する。

その他にも資本主義が人間にもたらした変化について綴った箇所なども(出所:クックパッド株式会社 2023年12月期 第1四半期 決算補足説明資料)

ただし、連結業績の説明前に、これら企業の存在意義に関わる内容が、かなり長く貼り付けられることに奇異とともに、面白さを感じる。なお、どうでもいい話かもしれないが、連結業績の説明前に、イラストだけでコメントが付記されていないページすらある。

クックパッドの業績

閑話休題。そこでクックパッドの業績に移ろう。

【2022年12月期】
・売上収益:90億円(前年比△9.2%)
・営業利益:△35億円

(※前年も営業損失が生じているため、前年比の表現ができない)

となっている。

コストの構造などもあるが、営業損失が出たもっとも大きな理由は収益の落ち込みだ。同社の運営する、国内レシピサービスにおける会員売上が減少。またレシピサービス広告売上も売り上げが減少している。

分解してみると次のようになる。

・国内レシピサービス会員売上:64億円(前年比△7.7%)
・国内レシピサービス広告売上:15億円(前年比△25.9%)
(※その他売り上げがあるため、合計は前述の収益と一致しない)

前者の「国内レシピサービス会員売上」は個人会員なのでBtoCの領域、後者の「国内レシピサービス広告売上」は企業からの出稿なのでBtoBの領域だ。つまり、同社はもともとのビジネスモデルとして個人と企業でバランスをとろうとしたものだったが、両方とも減少している。

BtoCはのちに語るものの、動画サイトやほかのサービスの台頭が大きい。また、BtoBはそれらの理由に加えて、食品メーカーの出稿意欲は原材料高騰により低下した背景もある。

なお冷静に付け加えておけば、同社は2022年12月期発表時点で「現金及び現金同等物」を168億円ほど有しており、私にことさらに経営危機をあおる意図はない。(※なおこれから書く2023年12月期 第1四半期発表時点では152億円に減少している)

次ページ最新の決算内容から
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