「いくつになっても学びたい」と思う人が抱く誤解 一人で道を極めても「若返り」にはならない
70歳を過ぎて水彩を習い始めた男性がいます。高校時代まで美術部にいて絵が好きでした。定年で現役を退いて再雇用で仕事は続けていましたが、もう一度、ちゃんと絵の勉強がしたくなったそうです。
「水彩なんて絵具と絵筆があればいい」と自分で勉強するつもりでいたのですが、自治体の教室案内に水彩コースを見つけてふと習ってみようという気になったそうです。
「おれはまだ高校生のままだな」という気持ち
教えてくれるのは、美大を出て子どもたち向けの絵画教室を開いているまだ30代前半の男性でした。もちろん自分でも絵は描いていますが、それだけで食べてはいけないのでしょう。「こんな無名の若い先生で大丈夫か」という気もしましたが、自分だって絵筆を持つのは60年ぶり近いのですから「ちょうどいいか」と気楽な気持ちで習い始めたそうです。
思いがけずも熱心な先生で、10人ほどが習う講座も活気があります。最初はまずデッサンの勉強から始まったのですが、高校の美術部時代はみんな我流です。それぞれが好き勝手に絵を描いて得意がっていただけですから、デッサンの勉強だけでずいぶん厳しく教えられたそうです。
そのうちだんだん夢中になってきました。最初は頼りなく思えた先生ですが、自分の師という意識がどんどん強くなってきます。そうなると40歳の年の差なんか消えてしまいます。
「おれはまだ高校生のままだな」と思えば、気持ちもどんどん若返っていきます。妻に「何だか顔がキラキラしてきたね」と言われたときには嬉しくてたまらなかったそうです。
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