原発放射能汚染で価格暴落する農産物、それでも高い補償の壁


 農家の資金繰り悪化などに対し、農水省は出荷停止処分となった農産物については、農協を通じた仮払金支払いを検討中。だが、風評被害などについては、原子力損害賠償法(原賠法)で賠償範囲が確定されるまで措置を講じるのは難しい、という見方がされている。

今回のような原子力災害を補償する原賠法では、被害者救済のため過失、無過失に関わらず原子力事業者に無限責任が発生。農産物は放射性汚染の有無に関わらず、風評被害でも補償の対象となる。「異常に巨大な天災地変」の場合は政府の補償になるが、今回は一義的に東電の補償範囲となる可能性が高い。この場合、原子力事業者が積み立てた保険金から最大1200億円が支出され、不足分を東電が負担、さらなる資金不足の場合は国が援助する。

これまでの原賠法適用はわずか1例。1999年に茨城県東海村で起きたJCO臨界事故だ。この際は農産物から放射性物質の検出はなかったが、茨城県産の農産物の価格、販売量が減少。風評被害に遭った農家を中心に約8000件の申し立てがあり、約7000件に154億円の賠償金がJCOから支払われた。

東電は現在、被害者向けの相談窓口を準備中だ。文部科学省も賠償指針を策定する原子力損害賠償紛争審査会を4月中旬に設置する。震災から1カ月経て、賠償に向け動きだしたが、ここからの道のりが険しい。


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