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鉄道輸出「オールジャパン戦略」の時代は終わった 重要部分に日本の技術導入「コアジャパン」へ

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  • 高木 聡 アジアン鉄道ライター
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今後、「コアジャパン」を目指すにあたって、完全日本仕様の車両をそのまま輸出するというスタイルはあまり通用しなくなることが予想される。脱オールジャパン、脱日本タイドが進んでいく中で、日本の技術を導入すべき「コア」の部分に十分な予算が配分できるようにコンサルがしっかりと事前調査を行い、円借款契約を結ぶことが重要だ。それ以外の部分には他国や機関の供与する借款と組み合わせ、十分なプロジェクト予算を確保することも必要になってくるかもしれない。

また、中所得国がこの先、中進国に格上げされて日本タイドでの調達ができなくなると、事前準備調査や入札図書を書く段階で、いかに腕利きのコンサルが日本のメーカーに有利な仕様を施主に提案できるかどうかが勝負を決める。

しかし、日本には専業の鉄道コンサルタントがほぼ存在せず、建設コンサルが片手間で仕事をしている状況で、鉄道業界に精通しているとは言いがたい。そのため、額も考えずに最新技術をこれでもかと詰め込んだり、施主の要望だけを盛り込んだりして、日本側がまったく期待しない仕様書ができあがる。そんな車両を安値受注していては、利益など出るはずもない。

「コアジャパン」進めるべきは何か

一部案件には国鉄OBやメーカーOBを期限付きでプロジェクトマネージャーの下に雇い入れている場合もあるが、彼らがさまざまな建設コンサルを渡り歩いており、どのプロジェクトも実は同じ人が関わっていたということはよく発生している。それほどまでに、海外案件に通用する人材が不足している。よって、日系の建設コンサルタントが受注していても、技術仕様書を書いていたのはヨーロッパ人ほか外国人だったということもしばしばあり、こうなるともはや日系メーカーの入り込む余地もなくなってしまう。

一方、現時点で「オールジャパンによる鉄道インフラ輸出」によって完成した一部の都市鉄道は、日本規格でしっかり固められている。「オールジャパン戦略」が失敗だったとはいえ、このレガシーは次の時代にしっかり引き継いでいかなければならない。今ある規格を活かすため、コンサルには日本規格で固めた既存線区との将来的な乗り入れを提案するといった“あざとさ”も必要である。さもなければ、再び日本は単なる金貸し国家への道を進むだろう。

タイ・バンコクのMRTパープルライン開業に合わせ導入された総合車両製作所(J-TREC)製車両。同社の「サスティナ」ブランドで製造されているが、日本の標準規格からはかけ離れている(筆者撮影)
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