最大4割高も、「電力料金」大幅値上げの防衛術 大手7社が6月に一斉値上げで、家計に負担

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Q6 電力会社も節電を推奨しているが、その内容は?

昨年あたりから大手電力各社はデマンドレスポンス(DR)という節電の取り組みを家庭や企業に促すようになっている。

たとえば東電EPでは昨年度に続いて今年7月から、節電量に応じてポイントを付与する「省エネチャレンジ」を始める。節電が進むことで家計の負担が少なくなる一方、電力会社も卸電力市場から割高な電力を購入する必要がなくなる。節電はWIN-WINの関係を意味する。

【2023年6月2日14時00分追記】上記の初出時の内容を修正しました。

Q7 補助金を活用して省エネを進める方法は?

窓断熱の設置など住宅改修のために、さまざまな補助金が用意されている。代表的な例として、経産省と環境省の「先進的窓リノベ事業」(1戸当たり200万円を上限に補助)、国土交通省の「こどもエコすまい支援事業」(リフォームの場合、1戸当たり30万円を上限に補助)などがある。

東京都などの地方自治体も独自の支援策を設けており、国の補助金との併用も可能だ。東電EPはLIXILと提携して窓断熱リフォームを家庭向けに紹介している。

電力会社切り替え時の注意点は?

Q8 電力会社切り替え時の注意点は?

大手電力会社は規制料金とは別に、経産省の認可が不要な自由料金メニューを用意している。

今回、規制料金の値上げに踏み切った電力会社は、規制料金と同水準または若干割安に設定しているケースが多い。その一方でポイント還元や水回りなどの付帯サービスなどを割安な価格で提供することで、お得感を打ち出している。

大手電力各社の規制料金の値上げを踏まえ、今後は新電力各社も大手電力の規制料金メニューと比べて割安なメニューを新たに打ち出すとみられる。そのタイミングを見計らって電力会社を切り替えるのも、電気料金を節約するうえでの有力な選択肢になる。「エネチェンジ」などの料金比較サイトを使って調べてみるのもよい。

ここで気を付けなければならないのは、電気料金メニューにはさまざまな種類があるということだ。

時間帯別に料金水準が異なるメニューや、市場価格連動型のメニュー、再生可能エネルギー電力100%といったメニューもある。市場価格連動型メニューでは、卸電力市場価格が低い場合には割安感があるが、高騰した場合に料金水準が大きく跳ね上がる可能性がある。内容を注意深く調べたうえで、生活スタイルに合った契約を結ぶ必要がある。

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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