最大4割高も、「電力料金」大幅値上げの防衛術 大手7社が6月に一斉値上げで、家計に負担
中部電力グループでは原子力発電所の再稼働がいまだに実現していないものの、昨年度から大企業向けなど料金認可が不要な自由料金で「値戻し」の交渉を進めてきたことが奏功。2023年3月期に他社が軒並み赤字となる中で、関西電力とともに黒字を確保した。
中部電力ミライズは規制料金についても、燃料価格算定上の上限額が10電力のうちで高かったこともあり、燃料高の転嫁が他社と比べて容易だった。これらの事情もあり、規制料金の値上げを見送った。
6月の値上げ実施後の10電力の電気料金の格差は今までになく大きく広がる。
経産省によれば、「30アンペア、1カ月の使用量400キロワット時」で比較した場合、最安の九州電力の8569円から、最高値の沖縄電力の1万4681円まで実に6000円強に料金格差が拡大する。沖縄県や北海道など電気料金が高い地方では、「エネルギー貧困」と呼ばれる問題が深刻化しそうだ。
経産省によれば、値上げ申請前の2022年11月時点と比べた場合、値上げ後であっても電気料金の水準は全般的に低い水準にとどまる(北陸および沖縄地区を除く)。
というのも、今年になって天然ガスや石炭の価格が下落したことに加え、経産省が「激変緩和策」と称して1月の使用分(2月検針分)から1キロワット時当たり7円の値引きができるように電力各社にその原資を補助金として投入したためだ。たとえば1カ月の使用量が400キロワット時の家庭の場合、激変緩和策による負担軽減額は2800円にもなる。
しかしこの激変緩和策は8月使用分(9月検針分)から半分に減り、翌9月使用分(10月検針分)にはゼロになる。
言い換えると10月以降、家庭の電気料金は大きく跳ね上がる。冬場になると電気の使用量は大きく膨らむため、1カ月の電気料金はさらに増大する可能性が高い。ウクライナ情勢が深刻化して天然ガスなどの燃料価格が高騰した場合、電気料金は跳ね上がるおそれもある。
節約できる事例がたくさんある
手っ取り早い方策は節電だ。経産省・資源エネルギー庁のホームページ「省エネポータルサイト」には、家庭向けと事業者向けに分けて対策が詳しく述べられている。
たとえば家庭向けの場合、エアコン、冷蔵庫など家電製品別の消費電力の割合や、エアコンの冷房設定温度を1度上げた場合に電気代をいくら節約できるかといった事例がたくさん記載されている。エアコン、冷蔵庫、照明器具など使用量の多い家電製品から順に対策を立てていくのが有効とされていて、製品ごとの特徴や製品選び、省エネの仕方などが詳しく書かれている。
また、家電製品を買い換えた場合の省エネ効果の試算も興味深い。電球型LEDランプは一般電球と比べて約86%もの省エネになるという。
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