「ハンバーグ」にソースをかける人が知らない真実 フランスとアメリカ、2つの国の由来の違い

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forcemeatとは「つくね」のこと。19世紀のイギリスでは、鳥獣肉、魚肉などとさまざまな物を混ぜた「つくね」=forcemeatを、ソーセージやロースト料理やパイの詰め物として使用していました。

そしてforcemeatを料理の主役とする場合は、ボール形に丸めて使うことが慣例となっていました。丸めたforcemeatはスープやカレーの具に、あるいはそのまま揚げたり焼いたりして食卓にのぼりました。

※外部配信先では図や画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください

1894年の『Cassells New Universal Cookery Book』よりforcemeat ballの説明

日本では、イギリスの多彩なforcemeat料理の中から、挽肉につなぎとしてパン粉や鶏卵や小麦粉を混ぜ/あるいはまぶし、フライパンで焼いたforcemeat ball=メンチボールが定着することとなります。

フランス風ハンバーグとアメリカ風ハンバーグの違い

こうしてメンチボールが日本で定着した一方、一部の店では戦前からハンバーグを提供しており、戦後に入りこのハンバーグが一気に広まっていきます。

1912(大正元)年生まれの作家・三宅艶子は、子どもの頃銀座の洋食店「凮月堂」および「富士アイス」において、ハンバーグを食べた経験があります(三宅艶子『ハイカラ食いしんぼう記』)。

西洋菓子店「米津凮月堂」のレストラン部門「凮月堂」は、フランス料理を中心とした店。三宅が食べたハンバーグは、おそらくフランス料理のハンバーグだったと思われます。

一方の「富士アイス」は、ホットドッグやハンバーガー、ショートケーキやホットケーキを出すアメリカ料理の店。ここで出されるハンバーグは、アメリカ流の「ハンバーグ・ステーキ」でした。

フランスとアメリカ、2つの国から日本に渡来したハンバーグ。両者には次のような違いがありました。

相違点(1) 名称

フランスでは「h」を発音しません。従ってHambourgはハンバーグではなく「アンブー」と発音します。

また、当時のフランス料理名は「(材料)のハンブルグ風」と呼び習わしていたので、近代フランス料理の父エスコフィエの『Le Guide Culinaire』(第4版)におけるハンバーグの料理名は、Beefsteak à la Hambourgeoise(ビーフステイク・ア・ラ・アンブルジョワーズ)となっています。

一方のアメリカでは、Hamburg steak(ハンバーグ・ステーキ)とよびます。

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