資産1億超の投資家「新NISAは配当株を選ぶべし」 日本株は米国株より約10%も税制面で有利に

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まずは、つみたて投資枠での投資対象を考えていきましょう。

年間投資枠は120万円で、投資対象商品は「積立・分散投資に適した投資信託」となっています。

長期的な運用を考えれば株式一択となりますが、その中にも日本株を対象としたものや、米国株を対象としたものなど様々な投資信託が存在しています。

投資信託の強みは、低い手数料で幅広く分散投資が可能なこと。 また、前述のとおり、誰でも平均点が狙える再現性の高さが魅力的な金融商品といえます。

その強みや魅力を勘案すると、世界中の株式に分散された投資信託を選択して、平均点を狙いにいくのが無難でしょう。 平均点といっても、期待されるリターンは年6~7%もありますので、これは十分な数字でしょう。

全世界の株式を対象とした投資信託は数多く存在していますが、ここでは、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」をオススメしたいと思います。

私自身もつみたてNISAで投資していますが、その純資産総額の規模や手数料の安さを考えていくと、最も無難な選択肢です。 これは新しいNISA制度が始まっても、長期的には期待値どおりの安定的なリターンをもたらしてくれるでしょう。 

日本株が米国株より有利なワケ 

成長投資枠は年間240万円で、保有限度額は1,200万円です。

日本株の配当金には、総合課税を選択して確定申告をした場合に適用される配当控除という税額控除の仕組みがあります。新しいNISAの非課税限度額の規模を考えると、多くの個人投資家にとっては十分な非課税枠であり、非課税での配当がほとんどとなると思われます。もはや確定申告での税還付を視野に入れて投資する必要もなくなったといえるでしょう。 

ただ、新しいNISAで米国株へ投資する場合には留意が必要です。アメリカで10%が源泉徴収されて、さらに日本で20%が源泉徴収されることになります。現行のNISA制度もそうなのですが、新しいNISA制度においても、非課税の対象となるのは日本国内部分のみ。したがって、アメリカで源泉徴収された10%は非課税の対象外となります。

なお、外国で課税された税額を日本国内の所得税額から一定の範囲で控除する、外国税額控除の適用も受けることはできません。 

次ページ具体的に考えてみると…
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