日本電産、拡大戦略はどこまで続くのか 永守社長「2020年はまだ現役でいる」

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縮小
業績絶好調でも、拡大の手は緩めない

赤字企業の再生に定評のある日本電産だが、今後はすでに利益を出している企業を中心に買収を行っていくという。

「過去のように赤字会社をバンバン買うのは控える。財務規律をきちんとしていく」(永守社長)。

さらに今後の飛躍に不可欠な大型新規事業の例として、説明会ではIoT(モノのインターネット)分野が紹介された。

物流用の自動搬送ロボットはすでに受注を始めていて、将来的には1000億円規模の売上げを見込めるという。永守氏は「IoTは非常に広がりのある有望な市場。長年買収を繰り返したことによって、この分野で必要な技術はかなりの部分保有している状態になっている。それを結集させれば大概の物は作れる」と自信を見せる。

元シャープ社長の片山氏、代表取締役に

こうした新規事業の中枢を担うのが、2014年9月に顧問として入社した元シャープ社長の片山幹雄・副会長CTO(最高技術責任者)になる。今年6月に開催予定の株主総会を経て、代表取締役に就任することが新たに発表された。

片山副会長の役割について永守社長は「今までグループ各社の技術を組み合わせた一体型の経営というのは、なかなかうまくいっていなかった。現在この分野は片山が全部担当している。バラバラだった技術をうまく集めて、相手の要望に応えられるようにしていく」と説明する。

ただ片山副会長はシャープ社長時代に、過剰投資で経営を低迷させたとしてさまざまな評判が飛び交うのも事実だ。

創業者でもある永守社長は今年71歳を迎える。後継者問題にも注目が集まるが、本人は「2020年はまだ私が(社長を)やっている」としばらくは続投を宣言する。「永守王国」はどこまで版図を広げることが出来るのか。

渡辺 拓未 東洋経済 記者

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わたなべ たくみ / Takumi Watanabe

1991年生まれ、2010年京都大学経済学部入学。2014年に東洋経済新報社へ入社。2016年4月から証券部で投資雑誌『四季報プロ500』の編集に。精密機械・電子部品担当を経て、現在はゲーム業界を担当。

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