日本電産・永守社長、「片山氏獲得」を語る ターゲットは“モーター以外"の新市場
「戦略は変わってきている。一顧客につき100億円規模の『丸ごと戦略』を推進する」。
10月23日、日本電産は東京・丸の内で、2014年度4~9月期(第2四半期)の決算説明会を開催。記者会見で永守重信社長は、そう経営戦略を語った。
第2四半期の実績は、売上高4895億円(前年同期比14%増)、営業利益526億円(同34%増)と、きわめて好調。純利益は522億円(同36%増)と、6年ぶりに過去最高を更新した。韓国サムスン電子向けの減速などで苦戦する電子部品メーカーも目立つ中、強固な収益基盤を改めて示した格好だ。
業績好調の要因としては、市場が成熟化したパソコン用HDDの精密小型モーターから、いち早く車載用や産業用モーターへと事業領域をシフトしたことが挙げられる。実際に車載分野は、売上高930億円(同72%増)と、大幅な伸びを記録した。
パソコン以外も「丸ごと」
一方、今回の会見で永守社長が強調したのが、既存分野の精密小型モーターのうち、パソコン用HDD向け以外の“新ビジネス”についてだった。
これまで精密小型モーターのうち、大半はパソコン用HDD向けだ。その他にも携帯電話用振動モーター、ゲーム機用ファンなどの小型モーターを手掛けるが、日本電産が今後狙うのは、これら小型モーターを含む、「丸ごと戦略」(同社)である。永守社長は「パソコンや光ディスク関連(のモーター)はなくなっていくトレンドだが、(丸ごと戦略の)新ビジネスは今後の成長の源泉になる」と自信を示す。
「丸ごと戦略」とは、ある製品へのモーターの提供を含む、課題解決の全般を引き受けること。例えばヘアードライヤーの場合、「重い、音がうるさい、コードが邪魔という、お客さんからのクレームが多いと聞く。うちは軽くて静かなモーターを提供し、かつ羽根の設計までを全部手掛け、単品でなく、丸ごとソリューションとして提供している」(永守社長)。
こうした「丸ごと戦略」拡大のカギとなるのが、技術の融合だ。製品の課題解決には、モーター単品の技術だけでなく、それに関わる回路設計、ソフトウエア、通信技術など、多様な技術が必要。会社としては、そうした技術全体の指揮系統も必要となる。
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