Z世代向けマーケティングは「共感」が鍵になる 「憧れ」に取って代わる新しい価値創出の極意
金間:どういうことでしょう?
長田:一言で言えば、能動的に検索しなくても、自分にとって有用な情報が向こうから入ってくるような状態をつくっているということなんですけど……「アルゴリズム矯正」っていう言葉は、聞いたことはありますか?
金間:初めて聞きました。
長田:たとえばInstagramの「発見タブ」には、過去の閲覧記録から、アルゴリズムが「あなたは、こういう情報を求めているんですね」と勝手に判断して、それに類する投稿をおすすめしてくれますよね。Z世代の子たちは、この機能をうまく使っています。
金間:それがアルゴリズム矯正?
長田:はい。ファッション用アカウント、グルメ用アカウント、美容用アカウントという具合に、自分の興味を分割して複数のアカウントをつくり、それぞれで気に入った投稿に積極的に「いいね」したり、アカウントをフォローしたりする。
するとアルゴリズムが組まれ、ファッション用アカウントだったら「自分に最適化されたファッションの投稿やアカウント」がおすすめに表示されるようになる。つまり、検索しなくても「自分が好きそうなもの」が勝手に集まるように、アルゴリズムを矯正しているわけです。
金間:なるほど。「調べなくてもいい環境」を事前に構築しているのか。
長田:それがZ世代のリアルですね。おすすめを見て「いいな」と思ったら、検索エンジンで能動的に調べてみるという流れになっているので、「最初の最初の情報」を調べる行動がない。だから、たしかに検索自体は減ってはいるけれども「検索していない」わけではないんです。
金間:何となく、SNSで流れてきたものを見たままポチってしまっているようなイメージだったのですが、本当は、そこに至る情報収集の文脈があるわけですね。
みんなの「いいね」に共感したい
金間:Z世代って、ニュースサイトでもSNSでも、コメント欄まで目を通すっていいますよね。
長田:しかも、どのコメントに一番「いいね」がついているのかも見ていますね。要は「みんなが共感している意見」まで確認しないと完結しない。