Z世代向けマーケティングは「共感」が鍵になる 「憧れ」に取って代わる新しい価値創出の極意
長田:それでも「自分がすごくお金を使ってるものは何?」などと聞くと、「推し」の話が出てきたりする。私たちは「界隈」って呼んでいるのですが、今の子たちの「好き」って、マスではなくミクロなカルチャーが同時多発的に生まれていて、それぞれにコミュニティーがあるんです。
そういう「界隈」の話が出たら、「じゃあ、その推しの何が好き?」と深掘りしていき、自分たちの商品はどう合致するのかを考える、ということをやっています。
金間:とても興味深い話です。さっきの「好き嫌い」が希薄になっているということと、本当は「好きなもの」があっても表出しないという二段構えで、Z世代の趣味嗜好が見えづらくなっているのではないでしょうか。
最近、僕は若者の「拒否回避欲求」にすごく注目してるんですけど、それは後者と関連していると思います。要は「好き」を表出したときの周囲のリアクションが怖い。拒否されたくない。だから表出させない。そう考えると、SNSの裏アカウントの存在意義もありますね。
長田:学校の友だちに「え、何それ?」って言われるのが怖いから、SNSで「好き」が共通する友だちをつくる。「同じ温度感で話せる」っていう安心感の中でだけ、推しの話がしたい。どこで自分のどの部分を出すのかを「整理」しているんです。
Z世代を取り込む「共感」マーケティング
金間:そうすると新しいモノやサービスを出していく側は、どんな心構えや戦略をもったらいいでしょう?
長田:Z世代って、トレンドを追いかけることはすごく大事にしているんですよね。本当はSNSに少し疲れているんだけど、少しでも抜けたら、みんなが追いかけているトレンドに追いつけなくなってしまう。
金間:だから「見ないこと」ができない。