Z世代向けマーケティングは「共感」が鍵になる 「憧れ」に取って代わる新しい価値創出の極意

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長田そうなんです。SNSでトレンドを追いかけていて、あんまり豊かではないけど好きなものにはお金をかける。そういう人たちが今後、消費の中心になっていくわけですよね。企業側から見ると「一緒に商品を盛り上げていくパートナー」になっていくと思うので、やはり、ちゃんと動向を見ていかないといけない対象です。

金間: 今日、すごくいいヒントをいただいたなと思うのは、「好き嫌い」より「共感」なんだ、という点です。「いかにZ世代の『好き』を捉えて、それに応える商品を提供するか」ではなく、「いかに『共感』の空気を生むか」が、Z世代の消費意欲を最もくすぐるポイントになってくるのかな。

長田はい、はい。

金間だとすると、その「共感」の起点はどこにあるのでしょう?

「小さな神」が乱立する「界隈」

長田それが、さっき言った「界隈」なのだと思います。一昔前は「浜崎あゆみ」「安室奈美恵」といった「圧倒的な神」がいて、その存在にどう近づくかというところでトレンドが生まれていましたよね。

金間“アムラー”たちの「ルーズソックス」とか「極細眉」とかですね、懐かしい。

長田今はそうではなくて、小さな「界隈」それぞれに「小さな神たち」がいる。たとえば歌手の「あのちゃん」に近い感じで、ちょっととがっていることをしている人たちです。

金間おもしろいですね。

長田そういうサブカルっぽい世界観でとがったことをしている子たちをまねしたいという子がだんだん増えて、勝手にトレンドになっていく。でも本人たちにはトレンドを生んでいるという意識はなくて、ただ好きなものを一緒に盛り上げたい……、かなりわかりづらいかもしれないですけど。

金間「小さな神たちがたくさんいる」っていうのはおもしろい概念ですね。そういう「界隈」がたくさんあるんだという認識をもって、いかに「共感」を軸にしたマーケティングをしていくかが、今後、大きなポイントになっていくということでしょう。

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金間 大介 金沢大学融合研究域融合科学系教授、東京大学未来ビジョン研究センター客員教授

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かなま だいすけ / Daisuke Kanama

北海道生まれ。横浜国立大学大学院工学研究科物理情報工学専攻(博士)、バージニア工科大学大学院、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、文部科学省科学技術・学術政策研究所、北海道情報大学准教授、 東京農業大学准教授、金沢大学人間社会研究域経済学経営学系准教授、2021年より現職。主な研究分野はイノベーション論、技術経営論、マーケティング論、産学連携等。著書に『イノベーションの動機づけ:アントレプレナーシップとチャレンジ精神の源』(丸善出版)、『イノベーション&マーケティングの経済学』(共著、中央経済社)など。

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長田 麻衣 SHIBUYA109 lab.所長

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おさだ まい

総合マーケティング会社にて、主に化粧品・食品・玩具メーカーの商品開発・ブランディング・ターゲット設定のための調査やPRサポートを経て、2017年にSHIBUYA109エンタテイメントに入社。SHIBUYA109 マーケティング担当としてマーケティング部の立ち上げを行い、2018年5月に若者研究機関「SHIBUYA109 lab.」を設立、多くのaround 20(15歳~24歳の男女)と接している。

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