大前研一・経営コンサルタント--国を当てにするな、稼ぐ場所は世界にある


 夫婦ではダブルインカムが望ましい。共働きならば、一方が失業しても何とかなる。日本の夫婦は、奥さんのほうが大学時代に優秀だったなんて話はいくらでもあるから、奥さんに投資をするべきだ。子どもに投資をしても、結果が出るのは20年も先のこと。子どもが親に恩返しをしてくれるとは限らない。まずは夫婦で稼ぐ力を上げることだ。

子どもの教育では、知識を授けるより、問題解決能力を育てるべきだろう。世の中には答えがあることなんて限られている。だから自分の頭で考える訓練を子どもにさせる。知識秀才をつくるより、どんな状況でも生きていける能力を身に付けることのほうが大切だ。私自身が高校生のとき登校拒否だったし、二人の息子はいずれも大学中退だ。その息子はウェブやゲームのクリエーターとして十分稼いでいる。

--危機の時代にはこれまでのルールが通じなくなりますか?

日本が安定した豊かさを手にしていたのは、実はこの50年にすぎない。その僥倖を自覚しないといけない。戦前でも、貧しかった人は成功を夢見て海を渡った。国が当てにならないならば、海外に出てでも、自分で稼ぐしかない。たとえば長く飢饉に苦しめられたアイルランドは本国には人口が約400万人しかいないが、世界中に7000万人もいる。歴史を振り返れば、国境を越えて生きていくのは、珍しいことではない。グローバル化が進んだ今こそ、その可能性はむしろ広がっている。

おおまえ・けんいち
1943年生まれ。米MITで工学博士。日立製作所、マッキンゼーを経て経営コンサルタントとして独立。2005年にBBT(ビジネス・ブレークスルー)大学大学院を開学し学長に就任。10年、学部を開講。 撮影:今井康一
(週刊東洋経済2011年4月2日号より)

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