大前研一・経営コンサルタント--国を当てにするな、稼ぐ場所は世界にある
今回の震災でまずは短期的に復興資金が必要になるが、1年の時限立法で消費税を2%上げ、それにより増収となる4兆円のうち半分を東北地方に配分し、もう半分を産業インフラの再建に回してはどうか。
自分と妻に投資をして稼ぐ能力を高めよ
国家が国民の金融資産を奪うには、アルゼンチンのようにいったんデフォルトになった国債を後で何割かだけ新しい国債に交換するか、新紙幣を発行して旧紙幣との交換条件を厳しくしてしまうか、いくつかやり方がある。国債の95%を国内で買っている日本のような国は、自国民の財産収奪を前提にすればよいから、逆に無規律にもなる。
私は、ロシア、スロベニア、トルコ、アルゼンチン、ブラジルのデフォルトやその後に起きたハイパーインフレを実際に見てきた。デフォルトに追い込まれれば、国家は国民に負担を押し付けるしか方法がない。ハイパーインフレ時のブラジルで、私のいたマッキンゼーでは、週単位で給料を支払っていた。それほどインフレがすさまじかった。
--となると、財産防衛として、どんな点に気をつけるべきですか?
日本円をたくさん持つことはない。海外に資産を持つことを真剣に考えるべきだ。それでもデフォルトを起こすような事態では、外銀の東京支店から資産を引き出そうとしても、引き出し制限があるかもしれない。外国では実際にそうだった。それを避けるには、外国に口座を持つしかないだろう。外国の株価や債券価格と連動しているETFのような金融商品が買える人はリスク分散という点ではよいだろう。
--仕事や家庭については、どんなことを心掛けるべきですか?
まず自分に投資をする。どこの国でも働けるようなスキルや経験を積む。そのために投資を惜しまない。人が働くのに、生まれた国である必要はまったくない。中国やインドでも働けるようになっておくことだ。