読書家になる子と全然読まない子「何が違ったか」 本への興味を持たせるのは、実はとても簡単だ
ちなみに、Sayaは同じ本を何回も繰り返して読むので、お気に入りの本はボロボロになっています。水をこぼしてページがふにゃふにゃになったものやテープでページが補強されたもの、背表紙が取れている本もあります。ときには2冊の本を並行して読んだり、初めての本でも途中から読み進めたり。彼女のベッドにはいつも本が何冊も積まれていて、部屋中読みかけの本だらけ。
それでも、Sayaの頭の中では完璧に整理ができていて、順序や読書スタイルがどうであれ、本を読んでいるときは微笑んだり、怖そうな顔をしたり、とにかく忙しそう。本を通して彼女なりの世界がどんどん広がっているのだと思います。毎日寝るときも必ず本を読みながら、指を読みかけのページに挟んだまま眠りについています。
本を読むことってこれくらいゆるくていいのです。
姿勢を良くする、明るいところで読む、一日のうちに一定の時間は必ず読む、しおりを挟む、読んだら必ず本棚に戻す……そんな注意はしません。もっと本を身近に、すぐに手に取れるようにすることが大切だと考えています。
想像の翼が広がる、オススメの絵本
「Sayaちゃんはどんな本を読んで育ったの?」という質問を受けることがよくあります。8歳を過ぎたころからはシリーズものの洋書を好んで手に取っていますが、幼少期にSayaが読んでお気に入りになった本を紹介したいと思います。
印象に残っているのは『かいじゅうたちのいるところ』(モーリス・センダック作/じんぐうてるお訳/冨山房)。これは、お母さんに怒られて追いやられた男の子の部屋が、いつの間にかかいじゅうたちのいる森になり、そこで男の子が大暴れするというストーリー。おそろしくもユーモラスなかいじゅうに囲まれる生き生きとした男の子の冒険にワクワクするお話です。
読んでいくと、途中に文字がなく絵だけになるページが出てきます。ここがこの本の醍醐味です。大人だったらすぐにページをめくってしまうでしょうが、子どもはそこで止まって、じっと絵を見ています。きっと、子どもたちの頭の中にはいろいろな想像や空想が湧き上がっているのでしょう。
もうひとつオススメなのが、大きくて、お行儀が良くて、とても気が利くライオンが、ある日、図書館にやって来てお手伝いをするという『としょかんライオン』(ミシェル・ヌードセン作/ケビン・ホークス絵/福本友美子訳/岩崎書店)。大判の本で色も美しく、大きく描かれた優しそうなライオンの毛並みが金色に輝きます。ライオンと図書館という予想外な組み合わせが、Sayaの心を捉えたようで、この絵本もとてもお気に入りでした。字が読めなくても何度も自分でページをめくり、自分だけのお話を作っていました。
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