【産業天気図・医薬品】アステラス製薬、中外製薬などは一部工場が操業停止、電力不足も大きな問題

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景況感の展望
11年4月~9月 10月~12年3月


 製薬業界の景況感は、前半(2011年4月~9月)が「下向き」、後半(10月~12年3月)はやや改善するが「横ばい」程度にとどまりそうだ。東日本大震災で業界主要企業が被災。電力供給不安もあり、生産の完全復旧メドは不透明だ。

製薬企業の中には、東日本大震災による設備の損壊などで、工場の稼働を停止している企業も少なくない。大手の中で、被害がほとんどなかったのは、武田薬品工業とエーザイ。反面、アステラス製薬や第一三共は今もなお、一部工場の操業が停止したままだ。

設備損壊など、影響が大きい企業の一つが中外製薬。主力の宇都宮工場の建物(倉庫棟や品質管理棟など)の損壊が大きく、操業を停止したまま。復旧は9月頃までかかる見通しで、損害額は約90億円と同社は見込んでいる。中堅クラスでは、あすか製薬で唯一の製造拠点であるいわき工場が被災。甲状腺機能低下症治療薬チラーヂンの供給不安が問題となり、緊急輸入などの対応に迫られた。

工場被害とともに大きな懸念材料となっているのが、電力供給問題。製薬企業の場合、原薬の製造段階で電力が不安定になると品質にも影響しかねない。現在、日本製薬工業協会で加盟企業に調査を行っており、今後、政府に適切な対応策を要望していく。ただ、電力総量規制の中で、必要な電力を確保できるかは不明で、大きな問題になっている。
(岡田 広行=東洋経済オンライン)

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