今回、取材をさせていただいた養育里親のみなさんは、全員が資格取得が必要な職種です。そらたろさんは以前、保育の仕事についていたこともありました。そういったことも里親の審査にはプラスに働いたと思われます。実は、レズビアンの方々が資格が必要な堅い仕事についていることは多い、と語る当事者の方もいます。「女性が結婚せず生きていくのは、男性以上に大変。手に職をつけよう」と考える人が多いからだとか。
そして、彼らのうち3人は、職場で自分たちのセクシャリティを明かしていません。職種的に明かしづらいと言います。裏を返せば、それくらい、同性愛者は身近に存在するということでもあります。そばにいることに気づいてないだけ、ということは実際に多いのです。
同性愛者を毛嫌いする人もいますが、実は、知らないうちにその人のお世話になっている可能性もあるのです。
養育里親にいちばん大切な条件
いま日本には親と暮らせない子どもが4万5000人ほどいて、その8割が乳児院か児童養護施設にいるそうです。また、家族の入院などで、短期の預かりが必要な子どももいます。子どもにとっては一人一人のケアが手厚くなる家庭養育がベストと言われていますが、日本は他国に比べて、養育家庭里親がなかなか増えない状況だそう。
さらに、里親制度はマッチングも大事な世界。いろんなタイプの里子といろんなタイプの里親がいるため、児童相談所は、相性が合いそうな組み合わせを考えて打診してくる仕組みだとか。そういう意味では、児童相談所にとっては、受け入れのバリエーションが増えることはとても助かることだと思われます。
(余談ですが、児童相談所は、かなり人手不足であり、心労も多い重労働でありながらそれに見合う給料は出ないと聞いたこともあります。里親制度にはさまざまな問題があるのです)
LGBTの社会的養護をサポートする一般社団法人「レインボーフォスターケア」(https://rainbowfostercare.jimdofree.com)という団体もあり、LGBTカップルの里親制度について情報発信をされているそうです。
ちなみに、養育里親にいちばん大切な条件は「子どもに対する熱意」(厚生労働省の里親制度についてのサイトより)。家庭のカタチより何より、それが子どもにとっていちばん大事だということを、現場にいる人たちは知っているのです。
里子の養育はきれいごとだけじゃできません。心の傷を抱えてきた子どもたちの育児は、実子の子育て以上に大変で、トラブルもつきものだと言います。発達障害などがある子どももいます。それでも彼らは試行錯誤しつつ、一組ずつ里子を預かり続けているのです。
彼らはこれまで短期希望の里子のみ受け入れてきましたが、いずれいい出会いがあれば、長期で預かることも視野に入れているそうです。
さて、次回は、この里親カップルの暮らしぶりや、なぜ養育里親という選択に至ったのかを紹介します。
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