マイケル・J・フォックス「栄光から闘病」経た現在 パーキンソン病の症状は悪化も、胸中は「感謝」

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実際、彼にはありがたいと感じる理由がある。キャリアはもちろんのこと、それ以上に35年も連れ添ってきた妻トレイシー・ポランの存在だ。仕事で忙しい時も、診断を受けた後鬱に陥った時も、彼女はずっとフォックスを支え続けてくれた。

フォックスは1961年、カナダのアルバータ州エドモントン生まれ。身長は163センチ。自分が普通より背が低いと初めて気付いたのは、3歳下の妹と同じサイズの服を着るようになった6歳の時。学校でも常に一番小さく、ほかの男子と一緒にスポーツをするよりも、女子たちに交じって演劇をすることを好んだ。

16歳だったある日、12歳の子役を求めるオーディション広告を演劇の先生が見つけ、応募して合格。キャスティング・ディレクターから「子供に見える若手俳優はハリウッドで需要がある」と教えられると、高校を中退してロサンゼルスに移住すると決意。1800マイルもあるロサンゼルスまでは、父が車を運転して連れていってくれた。

苦しかった下積み時代

しかし、ハリウッドは決して優しくはなかった。仕事はないわけではなかったが、生活は苦しく、たいしてあるわけでもない家具を少しずつ売ってやり過ごす日々が続く。もうダメかと諦めかけるも、これが最後だと思ってオーディションを受けたコメディ番組『ファミリー・タイズ』で、主人公家族の長男アレックスの役を獲得し、運命が大きく変わる。

そこへ今度はスティーブン・スピルバーグから声がかかった。スピルバーグが製作する『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は、ある主演俳優で撮影に入っていたがうまくいかず、アレックス役で注目されていたフォックスにオファーが来たのだ。

このチャンスは絶対に逃したくなかったが、『ファミリー・タイズ』の契約もある。そのため、フォックスは、昼間は『ファミリー・タイズ』、夜は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の撮影というハードなスケジュールを3カ月半もこなすことになった。睡眠時間は1日2、3時間程度。自分が今どちらの現場にいるのかわからなくなるほどだった。

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