「西成で78日生活」30歳彼が体当たりで掴んだ幸運 筑波大→大阪あいりん地区「異色ルポ」誕生背景

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そして今年、3冊目の単著である『ルポ歌舞伎町』が発売された。

この本の成り立ちは、少し時間を遡る。西成取材の後、國友さんは一旦実家に戻っていた。その後、写真週刊誌での張り込み仕事が忙しくなってきたので、東京にアパートを借りることにした。周りに「東京で家を借りようと思っているんだけど」と相談していたのだが、それを聞きつけた、草下さんから電話がかかってきた。

歌舞伎町の有名なヤクザマンションを借りて住み始めた

「歌舞伎町のヤクザマンションに住んでよ。それで本書いて」

ルポ歌舞伎町
『ルポ歌舞伎町』(彩図社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

「草下さんからの電話は15秒くらいで切れました。翌日くらいに『正式に企画通ったよ』って連絡来て、本当に歌舞伎町のヤクザマンションに引っ越すことにしました」

2019年の4月、歌舞伎町の有名なヤクザマンションを借りて住み始めた。

ヤクザマンションとは、マンション内に多数の暴力団が住むと言われている、有名な物件だ。

「ヤクザマンションだけで一冊書く予定だったんです。ただそのマンションには、たしかにヤクザの事務所が入っているんですけど、昔に比べたら数は減ってます。それに色々な組事務所が入ってるマンションで、派手なできごとが起きるわけもないんですよね。それで、ヤクザマンションに住みながら見える歌舞伎町を本にすることにしました」

ヤクザマンションに構えた自室(國友さん提供)

企画を変えつつ取材を進めたが、途中でコロナ禍がはじまり歌舞伎町は大激変してしまった。トー横キッズの登場など新たなできごとも起こり、それを描いた作品も出てきた。

「流行りを後追いするわけにもいかないので、コロナ禍とは関係ない歌舞伎町をじっくり取材して、コロナ禍が収束した頃に発売することにしました」

國友さんが興味を持ったのは、90年代の中国人マフィアや日本のヤクザが台頭していた時代の歌舞伎町だった。

中国人がよく拉致されたという、大久保のとある路地に立つとゾクゾクと興奮した。

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