オムロン、「消費電力の見える化」で狙う工場改革 生産性が向上し温室効果ガスの排出量も削減

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オムロンヘルスケア松阪工場の生産ライン
オムロンヘルスケアの松阪工場の血圧計生産ラインは、はんだ付けや梱包がコンパクトなスペースで行われている。天井には人感センサーが取り付けられている(写真:記者撮影)

「松阪をモデル工場と位置づけて成功事例も失敗事例も共有することで、中小企業にも『自社にもできる』と取り組んでもらう。一緒に脱炭素社会を実現したい」

オムロンヘルスケアは4月12日、松阪事業所(三重県松阪市)で行っている「エネルギー生産性」を向上させるための取り組みを報道陣に公開した。今までのオムロンにない取り組みだと自負するだけに、オムロンヘルスケアの生産SCM統轄部で働く鈴木礼子統轄部長の言葉にも力が入る。

オムロンヘルスケアはオムロンの子会社で、血圧計などの健康機器を開発・製造・販売する。2022年度からオムロンが扱う工場自動化を進める制御機器事業部と共同で、エネルギー生産性向上に向けた取り組みを検討してきた。

ラインごとに消費電力量を把握

公開されたのは、3棟目の建屋で4月に本格稼働した取り組みだ。工場内を見渡すと、血圧計のはんだ付けや梱包がコンパクトなスペースで行われている。1つの生産ラインにいるのは5人程度。天井には人感センサーが設置され、空調や照明の制御が行われている。

とくに新しい取り組みが、生産ラインごとの消費電力量を可視化した点だ。ケーブルを流れる電力量や圧縮空気を出すコンプレッサーの使用量などを測定するため、生産ラインや事務所に合計230個のセンサーを設置。事業所全体として把握していた消費電力量を、細かくわかるようにした。

事業所内の廊下には、従業員の目につく位置に大きなディスプレーが置かれている。ディスプレーの左半分には1日あたりのエネルギー生産性が、右半分には消費電力量と生産台数が棒グラフで示されている。エネルギー生産性は「売上高・付加価値額÷エネルギー消費量」で算出される。

オムロンは電力などのエネルギー消費量を減らしつつ、売上高や付加価値額を増やすことで、エネルギー生産性を高める考えだ。松阪事業所内では、工場で働く従業員にわかりやすく、そして生産性向上が意識されるように、日々の消費電力量と生産台数が可視化されている。

2022年11月、オムロンはエネルギー効率に関する国際イニシアチブ「EP100」に加盟した。EP100は「100% Energy Productivity」の略称で、事業のエネルギー効率(Energy Productivity)を倍増させることを意味する。この加盟に際しオムロンは、エネルギー生産性を2040年までに2016年比で倍増させると宣言した。

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