オムロンが最新「卓球ロボ」に込めた本当の想い CESで初披露、ロボットと人は共存できるのか

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オムロンが開発する卓球ロボット「フォルフェウス」。アメリカ・ラスベガスで開催されたCESに体験ブースが設置された(編集部撮影)

2020年1月7日からアメリカ・ラスベガスで開催された「CES2020」で、オムロンは最新の卓球ロボット「フォルフェウス」第6世代を初めて披露した。プレーヤーの動きだけでなく、表情や脈拍のデータを取得し、プレーヤーの感情を識別できる。

フォルフェウスは、オムロンが2013年から開発を重ねてきた卓球ロボットだ。オムロンが考える「機械が人の能力を引き出す未来の姿」を、体験デモや展示で実際に見せるために作られた。

2019年1月に発表された第5世代は、カメラによるセンシング技術を使って相手プレーヤーの動作から打球のコースや回転を予測し、ドライブやカットなど多彩な打ち方で返球する。さらに、対戦相手のレベルに合わせてラリーのレベルを変え、適切な打ち方をアドバイスする。

プレーヤーのやる気に合わせて返球

オムロンは2019年12月、ゲームソフト会社のスクウェア・エニックスと卓球ロボット「フォルフェウス」に搭載するAIについて共同研究すると発表した。プレーヤーのモチベーションを高めるようにラリーの相手ができるAIを開発する。

スクウェア・エニックスは、ゲームのプレーヤーの感情を推論し、ゲーム展開を変化させるAI技術を開発してきた。このAI技術とプレーヤーの感情のデータを組み合わせ、困惑気味の相手には易しい返球を、退屈気味の人には厳しい返球といったように、プレーヤーのやる気に合わせてモチベーションを高めるような対戦も可能になった。

推定したプレーヤーの感情を示すモニター画面。「Happy(幸せ)」や「Angry(怒り)」などの4象限で分析される(編集部撮影)

卓球ロボット開発を担当したオムロン技術・知財本部研究開発センターの八瀬哲志主査は、「(AIの発達によって)機械が人を追い越したり、機械が人の仕事を奪うという議論もあるが、人と機械がともに成長していける世界を世の中に示していきたい」と、フォルフェウスの可能性に期待を寄せる。

スクウェア・エニックスと共同開発するAIは、機械が人に合わせて動きを変え、人の潜在能力を引き出すための重要な要素の1つだ。八瀬氏は「プレーヤーに合わせて変わる未来のゲームのインタラクションは、現実世界にも展開できる」と手応えを語る。

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