みずほ証券「注意」に透けるIPO価格問題の本質 公取委が異例の措置も、根本的な解決は道半ば

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みずほ証券は注意が出されるより前に、この問題への対策を進めていた。公取委も注意についての公表文でみずほ証券が改善策を取っていることをわざわざ指摘し、留意を促している。

というのも、IPO時の価格設定プロセスは証券業界の課題であり、こうした問題が起きないように業界全体で対応を進めてきたところだったからだ。

この課題がクローズアップされるきっかけになったのは政府が2021年6月に閣議決定した「成長戦略実行計画」での指摘だった。公開価格が初値に対して大幅に下回っていることが問題視され、その対応としてIPO時の価格設定プロセスの検証が始まった。

証券会社などで作る業界団体で、自主規制法人でもある日本証券業協会は2021年9月にワーキング・グループを設置。公開価格の設定プロセスについて検討してきた。新規上場会社が公開価格に納得できるよう、機関投資家の需要情報を提供するようにしたり、公開価格の提案根拠を説明することを規則化したりした。

近年上場した企業のCFO(最高財務責任者)は証券業界の取り組みに理解を示す。自らの上場時を振り返り、「証券会社によって公募価格のディスカウント(割引)率がバラバラだったり、ロジカルな説明がなかったりといった不満があった」という。

現在は、こうした規則に基づいて各社が対応を進めている最中だ。だからこそ、ある証券会社の幹部は「このタイミングで公取委の注意が出るのは驚きだ」と話す。

日本証券業協会の担当者は「投資家や証券会社、発行体(新規上場企業)を集めて議論した」と説明する。森田敏夫会長も4月19日の記者会見で「公取委や金融庁、経済産業省にも方向性について理解を得た上での取り組みだ」と話した。そのため、協会としてみずほ証券を処分する予定はないという。みずほ証券側でも、関係者の処分等は行っていない模様だ。

問題はプロセスのみにあらず

公取委の注意や業界団体の規則によって、公開価格設定プロセスの問題は改善されるだろう。しかし、これでIPO時の値付けについての問題がすべて解決したわけではない。公開価格に対して初値が高くなる背景には、プロセス以外の要因も深く関係している。

投資家と証券会社、そして新規上場企業の間では公開価格の水準を巡りそれぞれ異なる思惑がある。「今回の事案は発行体(新規上場企業)の意志が働いたわけではない」。ある企業の幹部はそう漏らす。

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