井上:これがそのCubiTan(キュビタン)ですか。ずいぶん軽くて小さいんですね。
浅利:軽量で、見た目もかわいく持ち運びしたいという潜在的ニーズがありました。今はガスの運び手が男性ばかりですが、女性でも持てる必要がある。運び手がいないのが大きな問題です。高齢化も進んで労働災害が増えていると聞いています。
このCubiTanの中に、粒状になった多孔性配位高分子の素材を入れてガスを運ぶ。2025年ぐらいには、これでバイオマス由来のメタンガスを運ぼうと思っています。
現状だと、バイオマス由来のメタンガスを運ぶために、トラックをガソリンで走らせています。必要とする場所まで持っていって容器に詰めたら、また別の場所にトラックで運ぶのでコストの面でも環境にも優しくないですよね。
井上:メタンの温室効果は二酸化炭素の28倍、現在でも温室効果に大きな影響を及ぼしていると言われます。
地方で発生するメタンガスを市街地に運ぶ
浅利:メタンガスは、自然界のみならず1次産業でたくさん発生しています。つまり、温室効果ガスがどんどん排出されるという世界的な社会課題があります。最近は大手ゼネコンが、ゴミや家畜のふんからメタン発酵で生じるメタンガスを回収したりする実証実験を実施しています。
そのメタンガスを集めてエネルギーとして使えれば、スタートアップとしての価値を出せると思います。地方で回収して、エネルギーとして必要としている都市に持っていくのです。
井上:メタンの入ったCubiTanはどのように回収するのでしょうか。
浅利:高圧ガスのディーラーさんに協力してもらう予定です。ただ、メタンについては、将来的には宅配便を使って運搬できるようにしたい。
コンビニのトラックって、日本の地方のすみずみまで走っているので、コンビニと提携できれば、エネルギーを無駄なく運べます。メタンなどのバイオマスのエネルギーは田舎で発生します。それを、CubiTanで使って市街地に持ってくれば高く売れる。
井上:そうするとビジネスモデルは、ガスディーラーから仕入れて売るという「流通小売り」か、あるいは情報をつなぐ「マッチング」ですね。
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