浅利:将来的に目指しているのはマッチングです。バイオマスの市場とエネルギーの市場をネット上につくって、生産者のガスを一番高く買ってくれるところに売ってもらう。
これを実現するには、需要と供給の情報を管理する必要があります。北海道から沖縄までどこに過不足があるのか。一番高い値付けをしているところに売る。日本全土をガスが流れる感じで最適化していきたいですね。
井上:これが実現すると、エネルギーの流通革命ですね。メタン以外のガスは運ばないのでしょうか。
浅利:液化炭酸ガスもやりますし、窒素もやります。アルゴンとか、既に市場がある産業用ガスを流通させる実証実験も兼ねてやっていこうと思います。将来的にはアンモニアや水素といった他のエネルギーガスに関しても視野に入れています。
高圧ガス容器は、高圧ガスのディーラーさんが運ばないと駄目なので、液化炭酸ガスとか窒素とかは、彼らに協力してもらいます。先に説明したメタンとは異なる流通です。
もともと高圧ガス容器というのは、ガスを売っているのではなく、運ぶサービスを提供しているんですよね。ガスの値段となっていますが、汎用ガスに関してはかなりの部分を輸送コストが占めている。
ここを効率化できればお客さんもうれしいし、われわれも輸送コストが減った分から半分ぐらい分けてもらえるようなビジネスを考えられる。
容器が高いから売れない。だからタダにする
井上:軽くできる容器というのはすごいですね。どうして今まで、このようなものが生まれなかったのでしょうか。
浅利:今の技術だと軽くできます。なぜ何も変えないかというと、コストがかかるんです。
金属製の大きい容器自体が今1本3万〜5万円と極限まで安くなっている。ところが軽い容器を新しくつくるとなると1本で10万円ぐらいの原価となる。そうなると誰も買ってくれない。
LPガス用の金属容器は1個7000円ぐらいですが、ガラス繊維製のものだと2万円となります。ガラス繊維製はすごく軽くて北欧では1500万本ぐらい流通しているのですが、日本では売れ行きが芳しくない。現在使っている金属製の容器はとても重いのですが、みんな慣れてて、もう仕方がないという感じになっている。
CubiTanを新しい容器として売っても儲からないですよ。だからうちはCubiTanの容器はただで供給するつもりです。
IoTで情報を集めて流通をサポートする。この情報をみんなでシェアすることで収入を得る、いわばSaaS型のビジネスでやろうと思っています。容器が高くても、それが償却できるようなビジネスモデルが組めれば成り立つはずです。
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