浅利:そう考えると、この容器自体でも結構面白いビジネスになります。メタンガスのCubiTanは多孔性配位高分子の材料を入れるのですが、この材料を入れない容器もCubiTanと同じ形で全部つくっています。液化炭酸ガスとか窒素とか、ガスをそのまま入れるんです。積み重ねられるようにしたほうが良いので、なるべく幅広く対応しようと思っています。
井上:なるほど、コンテナのように形状と大きさを標準化して流通革命を起こすわけですね。
ところで、そもそもなぜ高圧ガス業界に注目したのでしょうか。
浅利:素材ベンチャーって難しいんです。うまく進められているところでも、ものすごく投資が必要となるので、製品化して早く売り上げを立てないと回らない。でも、売り上げはそれほどすぐに増えたりはしないです。
私も素材系の企業で勤めていたのでわかるのですが、素材を素材として売っていては大企業に勝てない。COOの片岡もそう言います。
大企業が参入しにくい用途で、社会課題がたくさんあって、なるべく古い業界のほうが適している。それで挙がってきたのが、この高圧ガスの業界でした。
どの”顔”で上場するのがいいのか
化学素材はゆるやかにしか売り上げが伸びていかないので投資家に好まれない。また、スタートアップが上場した時のバリュエーションも良くない。
当社の場合、株式公開する2025年に焦点を合わせた考え方をしないと駄目なんです。このときマテリアル、つまり素材ベンチャーとして上場するのか、環境エネルギーの会社として上場するのかによって、企業価値の付き方が全然違う。
素材だと優良大企業でもPERが低いところがほとんどなので、それをベースに試算されます。投資家からの期待が集まらないので、バリュエーションが高まらない。
一方、環境系とか、エネルギーのプラットフォーマーとして上場すれば話が全然違ってくる。IoTを駆使し、モノではなくサービスを提供できれば高いPERが期待できる。投資家さんの期待を裏切らないように、いかにして環境とエネルギーのところでの実績を世の中に示せるかがすごく重要です。
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