881個の資格王が説く「勉強とは挫折要素の排除」 鈴木秀明流・資格試験を突破するまでの道筋

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━━資格取得を目指す人はたくさんいますが、その分、途中であきらめる人も少なくないと思われます。挫折してしまう人にはどんな特徴があると思いますか。

効率的な勉強法としては、最初に過去問で出題傾向を分析してから、この試験はこういう勉強をすれば受かるなというのを見極めて、やるべきことを絞り込み、取捨選択をする。ここは重点的にやったほうがいいが、ここはあまりやらなくてもよさそうというように。最初の段階では問題を解こうとする必要はまったくないので、まずは傾向や全体像をしっかりつかむことです。

逆にいうと、いわゆるテキスト、教科書的な参考書をまず一通り理解しようとすることから始めるのは非効率であり、挫折するもとです。なぜかといえば、教科書は試験に出る可能性が低い内容も含めて膨大な範囲を収録しているため、「この内容を全部覚えないといけないのか」とネガティブになってしまうからです。なので読み切る前に途中で挫折してしまう。それよりは問題集をベースにして勉強し、テキストはわからない箇所を補足する教材として補助的に使うほうがいいでしょう。

例えば、社会保険労務士の試験勉強では、細かい数字が大量に書かれた年金や健康保険などの表がいくつも出てきます。これを全て覚えるのは無理だ…となって挫折したり、勉強が嫌になってしまったりする人がいるのですが、そもそもテキストを100%完璧に理解・暗記することなど無理です。それより、まず過去問で出題傾向をつかみ、しっかりやるべきところと少し手を抜けそうなところを見極めてから勉強に取り組んだほうが、挫折や非効率な勉強をしてしまうリスクは大きく減らせるはずです。

国家資格になったばかりの資格は狙い目

鈴木秀明(すずき・ひであき)/資格・勉強法アドバイザー、オールアバウト「資格」ガイド。 米国公認会計士、気象予報士、中小企業診断士など、881個の資格取得。著書に『7日間勉強法』(ダイヤモンド社)など。オフィシャルサイトはシカクロード。ツイッターは@suzuki_hideaki(撮影:尾形文繁)

━━資格や検定は数千あるといわれますが、881個取得した立場から、これから将来有望な資格といったら、何が挙げられますか。

もともと民間資格だったものが最近国家資格に格上げされた、愛玩動物看護師賃貸不動産経営管理士などは狙い目でしょう。国家資格化されるということは、その分野の産業や人材育成を国が強化したいと思っているからであって、有望な仕事になることは間違いないです。国家試験になると人気が出て年々競争が激しくなる傾向があるので、できるだけ早めに資格取得を狙うのが得策でしょう。

また資格や検定は取るだけでなく作ることもできます。自社商品の普及のため、企業が独自に作ることも増えてきました。

資格・検定を立ち上げると、企業にとっては、受験料収入やプロモーション、人材育成といった幅広いメリットがあります。実際に明治がチョコレート検定を実施したり、日清製粉やブルドックソースがお好み焼き検定に参画したりしています。従来は検定というと堅いイメージがありましたが、2006年に「ご当地検定」が全国的にブームになった頃から、「こんな趣味系のテーマの検定もありえるんだ」「検定って一般の組織や団体が自由に作っちゃっていいんだ」と気付く人が徐々に出てきたようです。

さらに資格・検定の立ち上げは企業や自治体などだけではなく、個人レベルでも協会やNPO(非営利団体)を立ち上げて検定を作ってしまう人もいます。例えばタピオカ好きの女性がタピオカ検定を作った例もある。

今はどんなテーマでも資格・検定になってしまうので、「○○検定」でネット検索すればだいたい何かしらの検定が引っかかる時代ですが、もし自分が興味ある分野に取りたい資格・検定が見つからなかったら、いっそ自分で資格を作ってしまうのも手です。自分が作れば、その分野の第一人者になれて、好きなことをライフワークにできる可能性もあります。単に既存の資格を取るよりも発展性を見込めるのが資格の世界なんです。

加藤 光彦 ライター

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かとう みつひこ / Mitsuhiko Kato

慶應義塾大学卒業後、女性誌を経て、東洋経済新報社に入社。編集局でゲームや電力業界を担当、その後ビジネスプロモーション局へ異動。現在は会社四季報執筆等に従事。

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