ゆうパック「下請けたたき」値上げ拒否の代償 社内調査で判明、横領・窃盗など深刻な弊害も

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実際、買いたたきの弊害も散見されている。近年の郵便局の不祥事では社員に加えて、下請け会社社員によるゆうパックや代金の横領・窃取の事件も多く発生している。郵便局の集配人からは「業務を放棄するなど、質の悪い業者が多い」との声もある。

一方で、下請け運送会社の幹部からは「委託料が安いのに1人当たりが運ぶ荷物量は多い。もう2度とやりたくない」という声もあった。

次期社長が取り組む最優先課題

日本郵便も郵便物が減少する中、多方面でコスト削減を進めなければならない懐事情はある。しかし買いたたきで下請けが苦しくなり、サービス品質が低下し、横領も発生するようでは負のサイクルに陥るばかりだ。

日本郵便の次期社長に就任するかんぽ生命保険の千田哲也社長は、自身が先頭に立って問題に対処することを強調した(写真:梅谷秀司)

全面的な契約の見直し作業は「今回限りで終わらせず、毎年定期的に見直し、金額や手続き部分についても改善する方針」(担当者)としている。

4月21日には、日本郵便の次期社長にかんぽ生命保険の千田哲也社長が就任することが発表された。千田氏は会見で「郵便局の経営と本社の乖離、コミュニケーション不足が大変重要な課題。私が率先して現場で話を聞き、実態やそこに潜む課題をつかみ、見える化していく。現場社員と一体となった組織風土改革、コンプライアンスを実現していく」と語った。

郵便局の信頼を失墜させないためにも、下請け業者との健全な取引関係を取り戻すことは急務だ。千田次期社長にとっても、コンプライアンスの遵守は最優先の課題となる。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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