職場で「気を使いすぎる人」を蝕む恐怖心の正体 人からの評価が気になったり、働きづらい理由

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トラウマを負った多くの人の場合、さまざまな症状や生きづらさに悩んだり、年齢が上がるにつれて環境の変化にも直面します。濃淡はありますが、よくよく考えれば”自分がない”ということに気づくようになります。

私はそうした状況を、「ログインしていないスマホみたい」と表現します。物理的には動くけれども、自分のIDではログインしていない。自分の身体はあるし、行動はしているけれど、そこに自分がない、自分のものではない。

本当の意味で自分の身体で動いていないし、自分で経験していない。そのため、重いケースでは、何かを経験しても積み上がる感覚がなく、自分の身になる感覚がありません。それがいっそう、自信を失わせることにつながります。

あるいは自己の喪失感を埋めるために、過剰に成果や報酬、名声を求めるといったことも生じます。

誰もがトラウマを負っている

『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』(ディスカヴァー携書)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

うつ病やパニック障害なども、実はトラウマが原因であることは珍しくありません。

「トラウマとは身近なものである」と書きましたが、近年、臨床心理や精神医学の世界では「誰もがトラウマを負っている」と捉えることに違和感がなくなってきています。

職場やビジネスの現場において、これまではさまざまな概念で説明されてきた悩みや困った事象について、”トラウマ”という視点で捉えるとまったく違う様相が見えてきます。

みき いちたろう 公認心理師

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みき いちたろう / Ichitarou Miki

三木 一太朗。大阪大学文学部卒業、大阪大学大学院文学研究科修士課程修了。在学時よりカウンセリングに携わる。大学院修了後、大手電機メーカー、応用社会心理学研究所、大阪心理教育センターを経て、ブリーフセラピーカウンセリング・センター(B.C.C.)を設立。トラウマ、愛着障害、吃音などのケアを専門にカウンセリングを提供している。著書に『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』(ディスカヴァー携書)、『プロカウンセラーが教える 他人の言葉をスルーする技術』(フォレスト出版)がある。雑誌、テレビなどメディア掲載・出演も多い。

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