職場で「気を使いすぎる人」を蝕む恐怖心の正体 人からの評価が気になったり、働きづらい理由

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

社会人の美里さんも、人に気を使いすぎることで悩んでいる1人です。他人の気持ちを考えすぎてしまい、「相手にどう思われたかな」とか、「申し訳ない」という気持ちが強く、あくせくと気を回してしまうと言います。会議や飲み会でも不機嫌そうな人がいると気になってしまって落ち着かないそうです。先日大きな会合があり、美里さんは気使う対象が多すぎてどうしていいかわからなくなって固まってしまい、上司から注意されてしまいました。

先輩からは「もっと、自分らしく堂々としていればいい」とアドバイスされるのですが、自分を出すと自分勝手になりそうでうまくできません。マイペースということがよくわからないそうです。

2つの事例をご紹介しましたが、実はそれぞれがトラウマ(発達性トラウマ)によると考えられる過緊張と過剰適応が疑われるケースです(子ども時代のトラウマのことを特に「発達性トラウマ」と呼びます)。

「トラウマ」と聞くと、どのようなイメージを抱くでしょうか。災害やレイプなど特別なできごとに遭遇した人がなる特殊な問題と考える人もいるのではないでしょうか。

トラウマは、遠い世界の存在ではありません。日常の不調や悩み、生きづらさ、今回取り上げる過緊張や過剰適応などふだん感じる症状としても現れています。トラウマとは私たちにとって、とても身近な存在なのです。

つねに不安感を抱いている

トラウマとは、「ストレス障害」のことを指します。程度はそれほどでなくても慢性的に続くストレスによっても生じます。

トラウマを負うと、つねに危機に備えるような状態になるため、脳では恐怖心や不快感といった感情に深く関わっている扁桃体が過活動を起こします。また自律神経でも、交感神経が優位となります。

これらは無意識レベルで生じるため、いくら意識で落ち着こうとしても自然体がわからず、リラックスすることができなくなります。

パソコンでいえば、つねにバックグラウンドでプログラムが動いているような状態です。緊張度が高いというのは、パソコンの各パーツを制御し、演算を行うCPU(中央演算処理装置)が働き続けて、余力がないような状態です。

次ページ背景にある「見捨てられ不安」
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事