部下の心をへし折る管理職の「悪気のない一言」 職場の心理的安全性を下げる無意識の口癖
「なぜあなたは仕事が遅いんですか?」
「なぜこんなことも理解できないの?」
「なぜそんな言い方をするの?」
実はこうした「なぜ」の使い方は、疑問文ではなく、相手の真意や誠実さ、真面目さ、IQを疑ったり、否定したりするような断定表現となって相手に伝わっていることがあります。
「なぜあなたは仕事が遅いんですか?」→「あなたは仕事が遅い人ですね」
「なぜこんなことも理解できないの?」→「あなたはこんなことも理解できない人なんですね」
「なぜそんな言い方をするの?」→「あなたの言い方は、なってないね」
こんなふうに言われたら、相手は攻撃されたと感じて、心理的安全性が下がってしまいます。実際、英語圏のコーチングの本にも、「Whyは攻撃的に聞こえるから、使うときには表現に注意しましょう」と書いてあったりするのです。
もちろん、純粋に理由をたずねるために、適切に「なぜ?」を使うのはOKです。
「なぜそういうやり方にしたんですか? 僕はまったく予測していなかったので、あなたの考え方や仕事の基準を教えてほしいんです」
たとえばこのように質問すれば、同じ「なぜ」でも、相手は自分を否定されたとは感じずに、率直に理由を話しやすくなります。
「ハラスメント未満」の小さな攻撃
無意識のうちにメンバーを傷つけてしまう、もう1つの例をご紹介しましょう。
今時、よほどのブラック企業でなければ、「お前の話は聞いてないんだよ、黙れ」とか、「お前はほんとにダメなヤツだな」といった、誰でもわかるハラスメント的な言動はないかもしれません。
しかし、職場の心理的安全性を脅かすのは、そうしたあからさまな人格否定や攻撃的な言動だけではありません。「自分はハラスメントに該当するような言動はしていないから大丈夫」と思っている人でも、実は無意識のうちに相手を傷つけ、心理的安全性を低下させていることがあるのです。
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