ガーシー容疑者、旅券失効もUAE滞在のビザ取得か UAEには永住権を認める「ゴールドカード」が存在

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ガーシー容疑者(写真:日刊スポーツ)

警視庁が芸能人や著名人らに対する暴力行為法違反(常習的脅迫)などの疑いで逮捕状を取った前参院議員のガーシー(本名・東谷義和)容疑者(51)の旅券(パスポート)が13日、失効(12日付)したことが明らかになった。ガーシー容疑者は昨年7月の初当選前からアラブ首長国連邦(UAE)のドバイを拠点に海外滞在を続け、任意聴取の要請に1度も応じなかったことから警視庁は外務省に同容疑者の旅券返納命令を要請し、13日が返納期限だった。旅券失効によって滞在国で不法滞在となる可能性がある。

ガーシー容疑者12日、自身のインスタグラムのライブ配信で滞在先のUAE日本領事館に「旅券の返納を行った」とした。同容疑者は「旅券を紛失した」としており、日本領事館に旅券返納の意思と紛失したことを伝えたとしている。

だが、ガーシー容疑者の関係者によると、同容疑者はUAE国内で通称「ゴールドカード」と呼ばれる永住権など長期滞在が可能となる何らかのビザを既に取得しているとの情報もある。日本貿易振興機構(JETRO)によると、UAEは2018年11月に「投資家永住権システム」を承認し、70カ国6800人の在住外国人を永住権発給対象者と発表した。投資家や専門家らを対象に有効期限5年または10年の居住ビザが発給され、500万ディルハム(当時約1億5300万円、1ディルハム=約30・6円)以上の資産を有する投資家には5年間の居住ビザが発給され、翌19年6月から永住権を認める「ゴールドカード」が在住外国人に付与されている。仮にガーシー容疑者がゴールドカードを取得している場合には、日本の旅券が失効してもUAE滞在を続けられる可能性がある。

警視庁は国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配する方針を固めている。滞在国に強制送還を求め、日本への帰国と同時に逮捕するものとみられているが、日本が犯罪人引渡条約を結んでいるのは米国と韓国だけで、強制送還に至るにはUAE政府との合意が必要とみられる。谷公一国家公安委員長は7日の国会答弁で「国外逃亡被疑者の逃げ得を許さず検挙を図ることは大変重要」などと答弁したが、令和3年度末の時点で国外逃亡した被疑者699人に対し、摘発数は28人(警察庁)と約4%にとどまっている。

(大上悟)

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