日本超える?中国「時速600キロ」リニア開発の実情 技術研究は進むが路線計画には進展見られず

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1つは、中国中車青島四方機車車輛が取り組む「常電導技術」によるシステムだ。これはドイツが開発し、上海で導入された「トランスラピッド」の技術を基本とした、磁石の吸引力を用いた浮上方式だ。

2020年に試験走行した「最高時速600km走行のプロトタイプ車両」は、中車青島四方機車が手がけた。この際は上海・同済大学のキャンパスに設けた試験線の長さが1.5kmしかなく、走行速度も最高で時速55kmにとどまったが、翌年には同社の拠点である青島で5両編成の流線形車両が公開された。現地では「中国が高速磁気浮上技術およびエンジニアリング能力を完全にマスターしたことを示すもの」といった報道が世間を賑わせた。

中車青島四方 リニア
中国中車青島四方機車車輛が開発した「設計最高時速600km」のリニアモーターカー(写真:中国中車青島四方機車車輛)

中国が開発する2つの「超電導リニア」

今回実験に成功したとされる中車長春軌道客車によるリニアの「高温超伝導(超電導)電気技術」は、同社が航空宇宙分野の国有企業である中国航天科工集団(CASIC)と共同で研究しているものだ。このほか、西南交通大学(四川省成都市)も医療用MRIなどにも使われる「高温超伝導(超電導)技術」を用いたシステムの開発に取り組んでいる。中車長春軌道客車と西南交通大学のシステムの違いは、前者は列車が動いているときだけ浮上し、後者は列車が止まっていても浮上したままである点という。

ちなみに「超電導」とは、特定の金属を一定温度以下にすると電気抵抗がゼロになる現象のことで、浮上走行の方式ではない。また「高温超電導」は、一般的にはマイナス196度以上で起きる超電導現象を指す。

日本のリニア中央新幹線は「超電導リニア」だ。車両を浮上走行させるための電磁石にこの現象を活用しており、ニオブチタン合金のコイルを液体ヘリウムによってマイナス269度まで冷やすことで半永久的に電流を流すことができ、強力な磁石の力を発揮する。車両は、搭載したこの超電導磁石と軌道(ガイドウェイ)の推進コイルが吸引・反発する力によって推進。車両の超電導磁石が軌道の浮上・案内コイルを高速で通過すると電流が流れて電磁石となり、吸引・反発する力で浮上する仕組みだ。

L0系改良型試験車
リニア中央新幹線「L0(エルゼロ)系」の改良型試験車(撮影:尾形文繁)

超電導磁石を使用し、列車が動いているときに浮上するという点では、今回の中車長春軌道客車のリニアは日本の超電導リニアと似ている。ただ、どのような仕組みで浮上・推進するのかは明らかにされておらず、実際に似たようなシステムなのかどうかは不明だ。

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