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日本超える?中国「時速600キロ」リニア開発の実情 技術研究は進むが路線計画には進展見られず

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また、リニアは「新しい技術として既存の交通手段を補完するもので、多くの新しい知見や産業の高度化をもたらすことができる」との見方がある一方で、「いかなる投資も商業化を考慮しなければならず、収益性を上げるには敷設の際の十分な検討が必要」との見方もあり、もろ手を上げての取り組みではないことをうかがわせる。

建設経費の肥大化に伴う運賃の高騰についても懸念されている。現在、高速鉄道の建設コストは1km当たり2億元(約38億円)以下だが、2002年開通(正式な旅客営業運転は2004年開始)の上海リニアは当時で約3億元(約58億円)だった。建設費がかさめば運賃に転嫁されることになるだろう。上海リニアの片道運賃は50元(約970円)で、1km当たり1.67元(約32円)となる。一方、全長1318kmの北京―上海間の高速列車は2等席で553元(約1万700円)のため、1km当たり0.42元(約8円)だ。上海リニアを基準に単純計算すれば、高速鉄道の約4倍となる。

狙いは「技術発展」?

その上海リニアも開業から約20年が経ち、現在はフルスピードでの運行はしておらず、最高速度は時速300kmにとどまっている。これは高速鉄道を走る最速列車の時速350kmさえも下回っている。

リニア建設の青写真作成に加わっている当局者は、「時速600kmのリニアプロジェクトは”科学技術革新”の項目として考えられている」と説明。「必ずしも大規模な応用を目指すのではなく、技術発展のための予備として位置づけられている」とも話す。

世界初の高速リニア「上海リニア」開業時の姿

  • 上海リニアは浦東国際空港と市街地を結ぶ 上海リニアは浦東国際空港と市街地を結ぶ
    =2004年2月、龍陽路駅(筆者撮影)
  • 試験運行列車のドアが開くのを待つ市民ら 試験運行列車のドアが開くのを待つ市民ら
    =2004年2月、龍陽路駅(筆者撮影)
  • 試験運行列車の席は全てが早々に売り切れた 試験運行列車の席は全てが早々に売り切れた
    =2004年2月、龍陽路駅(筆者撮影)
  • 2等客室内の様子。シートは固定式で回転はしない 2等客室内の様子。シートは固定式で回転はしない
    =2004年2月(筆者撮影)
  • 座席配列が2x2の部分もある 座席配列が2x2の部分もある
    =2004年2月(筆者撮影)
  • 先頭部の乗務員室内 先頭部の乗務員室内
    =2004年2月(筆者撮影)
  • 先頭部の乗務員室内 先頭部の乗務員室内
    =2004年2月(筆者撮影)
  • 先頭部の乗務員室内 先頭部の乗務員室内
    =2004年2月(筆者撮影)
  • 時速430km走行中を示す表示 時速430km走行中を示す表示
    =2004年2月(筆者撮影)
  • 上海リニアのシステムを紹介する展示。ドイツが開発した 上海リニアのシステムを紹介する展示。ドイツが開発した
    トランスラピッドを採用している(筆者撮影)
  • トランスラピッドは磁石の吸引力によって浮上する トランスラピッドは磁石の吸引力によって浮上する
    システムのリニアモーターカーだ(筆者撮影)
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  • 上海リニアは浦東国際空港と市街地を結ぶ
  • 試験運行列車のドアが開くのを待つ市民ら
  • 試験運行列車の席は全てが早々に売り切れた
  • 2等客室内の様子。シートは固定式で回転はしない
  • 座席配列が2x2の部分もある
  • 先頭部の乗務員室内
  • 先頭部の乗務員室内
  • 先頭部の乗務員室内
  • 時速430km走行中を示す表示
  • 上海リニアのシステムを紹介する展示。ドイツが開発した
  • トランスラピッドは磁石の吸引力によって浮上する

日本のリニア中央新幹線は静岡県内の着工のメドが立たない問題があるとはいえ、技術としては実際に乗客を乗せて時速500kmで運行できる状態にある。中国の国是として「リニア技術で日本に負けるわけにはいかない」ということなのだろうか。実際に人を乗せて試験線を高速走行するまでにはまだまだ時間がかかりそうだが、今や世界一の路線網となった高速鉄道のようにあっという間に実用化して路線網を広げてくる可能性もないとはいえない。しばらくは開発の進展を注視する必要がありそうだ。

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