日本超える?中国「時速600キロ」リニア開発の実情 技術研究は進むが路線計画には進展見られず
リニアの試験車を造って走行試験を行うには、一定の距離以上の試験線が不可欠だ。日本の山梨リニア実験線は約42.8kmの長さがある。
だが、中国で現在技術試験を行っている3つの事業体は数百メートルの試験線を持つにすぎず、長い試験線の敷設に積極的な西南交通大学でも、現状では全長1500mの軌道を造るにとどまっている。
中国でも「継続的に技術を向上させるためには、長距離の試験線を造って検証を行う必要があり、現在あるテストラインでは短すぎる」と理解されている。このため、すでに営業運転が行われている上海リニアの路線を使って試験をしたらどうかとの声も聞こえてきている。ただ、システムが異なれば不可能だ。
中国でも「リニアは不要」との論議が
都市間を結ぶ長距離の高速リニアは、世界的にまだ実現していない。
世界初の高速リニアである上海リニアは2002年12月末に開通式を行い、2003年9月から乗客を乗せた試験運行を実施、2004年4月に正式な営業運転を開始したが、路線は短距離だ。上海リニアに採用されたトランスラピッドの技術を開発したドイツは、自国では実用化しないまま10年以上前に開発継続を断念した。日本は技術こそ実用段階ではあるものの、リニア中央新幹線の2027年開業は困難で、まだ時間がかかりそうだ。
中国でも、北京―上海間をはじめ、広州―深圳間、上海―杭州間、成都―重慶間、さらには海南島や雲南省、安徽省といった地域で路線が計画されたこともある。しかし、いずれも実質的な進展はなく、研究段階にとどまる。上海―杭州間については、現在運行中の上海リニアを延長するという形が10年以上前に提案されるなど最も具体性があったが、現状では頓挫しているようだ。成都―重慶間は長期的な計画にとどまるほか、海南島のリニア計画は調査さえも行われていない。
リニアは他の鉄道との互換性がなく車両の相互乗り入れが不可能だ。そのうえ高速性を求められるため、中国では「駅は100kmに1駅しか設置できない」と考えられており、停車駅の数も限られることから、沿線の経済活性化に果たす役割は限定的との分析もある。
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