「完成度8割」、新型リニア車両「残る2割」は何か 既存車をブラッシュアップ、5月走行試験開始
瀬戸内海に面したこの工場には何度も足を踏み入れているが、この日は工場の通用門で体温チェック、マスク着用が必須という異例の状況。全国で新型コロナウイルスが猛威を振るう状況下では仕方ない。しかし、目の前に姿を見せた白い車体の輝きが、「コロナ鬱(うつ)」と呼ばれる不安な気持ちを一瞬忘れさせた。
3月25日、JR東海が開発するリニア中央新幹線「L0(エルゼロ)系」改良試験車の先頭車両が、山口県下松市にある日立製作所の笠戸事業所で報道公開された。SL(蒸気機関車)から新幹線まで製造してきた日立にとっても、この車両の製造は新たな歴史の1ページとなる。
運転室があるかのようなデザイン
JR東海は山梨リニア実験線で超電導リニア車両の走行試験を重ねている。L0系は2002~2008年に走行した試験車両「MLX01-901」に続いて2013年に登場、2編成計14両が製造された。「営業線仕様の第1世代」と位置づけられる。
居住性を確保するため、飛行機のような丸形ではなく角型の車体断面としたほか、座席の上に荷物収納スペースを設置して、車内空間は新幹線車両に近いデザインとなった。
今回登場したのは、そのL0系をブラッシュアップした「改良型試験車」。先頭車両と中間車両が1両ずつ製造され、既存のL0系と組み合わせて運用される。先頭車両を日立が製造した。中間車両を製造するのはJR東海の子会社、日本車両製造だ。
東海道新幹線でおなじみの白い車体にブルーのラインはリニアにも踏襲された。L0系では直線的なラインだったが、改良型試験車では曲線となった。
運転席のようなものも見える。リニアは無人走行するため先頭車両に運転室はないが、従来の先頭車両では下部に設置されていた前方視認用カメラや前照灯の位置が上部に設置されたことで、あたかも運転室があるかのように見えるのだ。これが一般的な鉄道車両のような安心感を与える。
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