小田急、今や貴重「木製マクラギ」交換訓練の狙い ロマンスカーの乗り心地支える保線係員が集結

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4区合同で実施したのは保線専用線の分岐器部分のマクラギの交換。本線ではほとんど使われていない木製のマクラギ(長さ2.5~2.8m)計14丁を各区で分担して取り替える。通常、本線での交換は数丁であれば自分たちでも進めるが、基本的にはグループ会社の小田急エンジニアリングなどが担っている。木マクラギの交換、しかも日中の作業となると、なかなかレアな体験だ。

作業前の点呼・安全指示でも「普段はあまりマクラギ交換をやらないかと思いますので、指挟みなどに十分注意しながら、『うるさいよ』と言われるぐらい、とにかく声かけを徹底してください」と呼びかけがあった。普段から時間が限られる夜間作業に備えているだけあって事前の準備は万端、午前中には新しい木マクラギをレールの下にセットするところまで完了するなど、手際よく進められた印象だった。

秦野工務区助役の佐藤英雄さんは「木マクラギは10年に1回しか交換しないものもある。作業は区によって多少経験値の違いもあるので、教育というよりは訓練によって、ワイワイガヤガヤと一緒に取り組んでコミュニケーションを活性化させる」と狙いを話す。手順や安全管理などを一緒に確認することで「現場力の向上を図る」のが合同作業の目的だ。

レアになった「木マクラギ」

マクラギは列車の揺れを抑制するバラスト(砕石)の上で、レールを支える役目をしている。漢字で書くと「枕木」だが、時代が下るにつれてプレストレスト・コンクリート(PC)など木材以外を使った製品が増えてきたことから、「マクラギ」「まくらぎ」と表記される。このため、昔ながらの木製を指す「木マクラギ」という用語も存在する。

小田急には新宿―小田原間の小田原線、新百合ヶ丘―唐木田間の多摩線、相模大野―片瀬江ノ島間の江ノ島線がある。同社工務部によると、本線上での敷設割合はPCマクラギが約78%と大半を占める一方、木マクラギはわずか0.2%。分岐部や橋梁には、ガラス長繊維と硬質発泡ウレタンの複合材料でできた「合成マクラギ」(約7%)が用いられる。

分岐部の合成マクラギ
本線分岐部の合成マクラギとロマンスカーGSE(記者撮影)
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